憲法が定める「表現の自由」の中でも、たくさんの人が共通の目的をもって集まる「集会の自由」は、民主主義における基本的人権の一つとして最大限配慮されなければならない。

 名護市辺野古への新基地建設に反対する市民の活動拠点を狙い撃ちし、政権に不都合な声を権力を行使して封じ込めようとするやり方は、あまりに強引で、問題をこじらせるだけである。

 沖縄総合事務局は19日、米軍キャンプ・シュワブゲート前に設置されたテントを撤去するよう、道路法を根拠に行政指導した。

 テントは、キャンプ・シュワブ前の国道の歩道にブルーシートなどで作られたものである。抗議活動のベースであり、市民らの休憩場所として、夏の日差しや、冬の寒さ、風雨をしのいできた。

 道路法では工作物などを道路上に設置し継続して使用する場合、許可が必要とされる。道路管理者が管理上支障がないと認めれば、許可される。

 総合事務局側の言い分は、「国道の区域内であり、これまでも口頭で指導してきた。住民から苦情も寄せられている」。 

 市民はこれまで、非暴力で節度を守り運動を続けてきた。いきなり26日と期限を切って撤去を迫るのは抗議行動の排除が目的としか思えない。

 歩道をふさいで歩行者の邪魔になっているというのであれば、座り込み行動をしている人たちに、その旨注意すれば済む話である。

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 同じ日、沖縄防衛局も「工作物が施設・区域の安全確保を阻害している」とし米軍のテント撤去要請を伝達した。総合事務局と防衛局の示し合わせたような行動は、官邸の強い意向を反映したものだ。

 菅義偉官房長官は20日の記者会見で「法令に基づいて適切に対応する」と述べている。

 今国会で安倍晋三首相は、昨年の県知事選、衆院選沖縄選挙区と続けて辺野古容認の候補が敗れたことに関し、「選挙結果は真摯(しんし)に受け止めたい」と答えている。真摯に受け止めるというのなら、行動で示すべきだ。

 政府は前知事による埋め立て承認を唯一の根拠に、新基地建設を強行するが、前知事の行政行為は、違法性が高い上、問題点が多く、県が第三者委員会で検証作業を進めているところである。

 そのような状況で国がとるべき道は、いったん作業を中断し、県と話し合う場を設けることだ。

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 キャンプ・シュワブ前で市民による監視と抗議行動が始まったのは昨年7月。さまざまな方法で反対の姿勢を貫き、最近は24時間態勢をとるなど張り詰めた日が続く。 

 参加者の多くは沖縄戦や米軍統治時代を知る世代である。居ても立ってもいられなくなっての行動だ。その一人一人の後ろに、新基地建設に反対する大勢の県民がいることを政府は直視すべきである。

 何度でも聞く。安倍首相が繰り返す「沖縄の方々に寄り添う」という言葉の意味は何なのか。