2017年(平成29年) 11月21日

1935沖縄 よみがえる古里

【記者と案内人】朝日新聞記者と小学校教員、異なる戦争体験

 1935年、糸満の漁港で写したとみられる記念撮影風の1枚には、沖縄を取材して本土に戻った大阪朝日新聞の記者と、糸満での取材を案内した人たちが写っている。その後の歩みは異なるが、それぞれが激動の時代をくぐり抜けていた。

右端は1935年の沖縄取材に訪れた大阪朝日新聞社会部の守山義雄記者。同僚の藤本護カメラマンは撮影者のためか、写っていない。残る3人は左から取材をコーディネートしたとみられる同社那覇通信部で初代主任を務めた豊平良顕さん(1948年の沖縄タイムス社創業メンバーの一人)、糸満尋常高等小学校に勤めていた安仁屋政栄さん、玉城瑩さん。豊平さんは同年4月20~24日に沖縄を訪れた同社の下村海南副社長(1945年に鈴木貫太郎内閣の国務相兼情報局総裁に就任)と飯島曼史論説委員も案内している。玉城さんは後の旧糸満町長。撮影地は糸満市糸満の前端区辺りにあった漁港、新島浜(みいじまばま)とみられ、左後方にハーレーに使われた塗装があるサバニが見える(写真は朝日新聞社提供)

写真の安仁屋政栄さんを見て「父だ。目は年を取った後と同じ」と懐かしむ次男、扶さん(72)=那覇市首里石嶺町=が「写真の背景は、ここに描かれているのと同じ場所ではないか。米軍からもらったパラシュート生地に絵の具で描いている」と語る、政栄さんの遺作。長い歳月を経て、生地にしわは寄っているものの、帆を張ったサバニが港に入る光景が優しい色合いで残っている。扶さんは「糸満にゆかりの深い場所で多くの人に見てもらいたい」と話した。

右端は1935年の沖縄取材に訪れた大阪朝日新聞社会部の守山義雄記者。同僚の藤本護カメラマンは撮影者のためか、写っていない。残る3人は左から取材をコーディネートしたとみられる同社那覇通信部で初代主任を務めた豊平良顕さん(1948年の沖縄タイムス社創業メンバーの一人)、糸満尋常高等小学校に勤めていた安仁屋政栄さん、玉城瑩さん。豊平さんは同年4月20~24日に沖縄を訪れた同社の下村海南副社長(1945年に鈴木貫太郎内閣の国務相兼情報局総裁に就任)と飯島曼史論説委員も案内している。玉城さんは後の旧糸満町長。撮影地は糸満市糸満の前端区辺りにあった漁港、新島浜(みいじまばま)とみられ、左後方にハーレーに使われた塗装があるサバニが見える(写真は朝日新聞社提供) 写真の安仁屋政栄さんを見て「父だ。目は年を取った後と同じ」と懐かしむ次男、扶さん(72)=那覇市首里石嶺町=が「写真の背景は、ここに描かれているのと同じ場所ではないか。米軍からもらったパラシュート生地に絵の具で描いている」と語る、政栄さんの遺作。長い歳月を経て、生地にしわは寄っているものの、帆を張ったサバニが港に入る光景が優しい色合いで残っている。扶さんは「糸満にゆかりの深い場所で多くの人に見てもらいたい」と話した。

 右端は、同紙連載「海洋ニッポン」を担当した守山義雄記者。朝日新聞在職中の64年、53歳で亡くなった。同僚らがまとめた「守山義雄文集」(65年)で、この間の足跡が分かる。

 日中戦争が始まった37年には旧日本軍が占領した南京におり、39年にはナチス・ドイツの首都ベルリン特派員になった。

 攻略直後のパリやソ連との戦いなどを取材して45年5月1日夜、攻防下にあったベルリンで、ヒトラー死亡のラジオ放送を聞いたようだ。

 同盟国だった日本の記者として、こう振り返っている。

 「筆者らはいわゆる盟邦の記者…両国の戦時プロパガンダ政策の垣根からは一歩も外に出られない、いわば…一個の兵隊にすぎなかった」

   ◇    ◇

 左から2人目の安仁屋政栄さんは当時、糸満尋常高等小学校で美術を教え、画家でもあった。

 次男で、終戦の年生まれの扶(たすく)さん(72)=那覇市首里石嶺町=は「父は戦争のことは話さなかった」と思い出す。

 「両手の指が曲がりにくく、筆を持つのもきつそうだった。戦前、共産主義者の疑いをかけられて拷問を受けたと、おばから聞いた」 政栄さんは戦後最初の糸満初等学校の校長に就任している。扶さんによると自らの描いた絵と物々交換でテントやノート、鉛筆などを米軍から手に入れ、青空教室を開いた。50年代に画業を断念した後も教員を続け、73年、67歳で亡くなった。(「1935沖縄」取材班・堀川幸太郎)

写真展「よみがえる古里~1935年の沖縄」

戦火に包まれる前の沖縄が、150枚の秘蔵写真でよみがえります。 7月21日(金)~30日(日)まで、タイムスギャラリー(那覇市久茂地2-2-2、タイムスビル2階)で開催。入場無料です。

 

写真集「沖縄1935」発売

 戦火に包まれる前の沖縄がよみがえります。待望の写真集が朝日新聞出版社から全国販売。「糸満」「那覇」「久高島」「古謝」と地域ごとに章立てされ、82年前の人々の生き生きとした様子が鮮明なモノクロ写真で紹介されています。

 ■朝日新聞出版社

 ■A4判変型

 ■1,800円(税抜)

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