「21世紀の資本」を著したフランスの経済学者トマ・ピケティさんの言説がブームだ。日本を含めた先進国で人口の1%に富が集中する現状を行き過ぎた不平等とし、富裕層の固定化を「世襲資本主義」と批判する(21日付7面)

▼遅ればせながら同書を読んで政治の世襲はどうかと考えた。真っ先に浮かんだのは国家代表が世襲制の北朝鮮。3代目の金正恩第1書記は、国民の多くが飢える中、ミサイルの試験発射にご執心だ

▼けれどそんな隣国を、対岸の火事と言えない日本の現実が20日発売の「週刊金曜日」に掲載された。現在の衆参両院の議員717人中、世襲議員は174人。最多が自民党の127人で、同党の国会議員の3人に1人に上る

▼これは3親等以内に国会議員がいる場合に絞った数で、親や親族が都道府県議や市町村長まで広げるとさらに増えるという。国政での世襲の何が問題なのかといえば、最大は政治活動の基盤だろう。親や祖父が国会議員の子の多くは首都圏で育つ

▼一例を挙げれば選挙の度に山口県から出馬する安倍晋三首相だが、経歴によれば小・中・高校・大学を東京で過ごしている。卒業後は米国や神戸に拠点を置き山口にいた形跡はない

▼地元を知らない議員が地元の代表として国政へ。これでは国民の声が届かないのも無理はない。(黒島美奈子)