光は闇の中にあって初めてその存在に気付く。

「光をくれた人」の一場面

 戦争で深い心の傷を負い、オーストラリアの孤島での灯台守の仕事を選ぶトム。愛する妻イザベラとの穏やかな生活でトムの傷は次第に癒やされるが、妻は2度の流産により絶望の底に落ちてゆく。

 ある日、島に流れ着いた1艘(そう)のボートの中で泣き叫ぶ赤ん坊を見つけたイザベラは、トムの反対を振り切り、その赤ん坊をわが子として育てる。だが時を経て、喪失感に苦しむ実母の存在が明らかになっていくのだ。

 登場人物は誰もが愛にあふれているのに愛の隣に潜む憎悪が暴走したり、執着の結び目を固くしたりで誰をわが身に置き換えてももどかしく、切なく苦しい。2人の母の愛ゆえの葛藤に胸かきむしられながら、許すことで訪れるラストの場面に涙腺は決壊。(スターシアターズ・榮慶子)

シネマパレットであす15日から上映予定