陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の是非を問う与那国町の住民投票が22日行われた。有効投票総数1077票のうち賛成は632票、反対445票で賛成票が過半数を占めた。

 今回の住民投票で問われたのは、人口の減少に悩む「国境の島」を存続させていくための「まちおこし」の手法の違いだった。2008年に与那国防衛協会が自衛隊配備を要請し、外間守吉町長が09年、防衛省に陸自配備を求めて以来、町が二分されてきた。

 賛成派は、自衛隊の配備によって島の人口が増え、活性化につながると主張した。反対派は、人口流出の根本的な解決につながらないとして自衛隊に頼らないまちづくりを訴えた。

 賛成派は自衛隊配備による島の防衛力強化も主張したが、勝因はむしろ、自衛隊員と家族約200人の人口増が見込めることや、防衛関連予算によるごみ焼却施設整備など、活性化が期待できる材料が示されたことだった。

 防衛省は、与那国島の近くを航行する艦船や飛行する航空機の動きを監視するレーダー施設を町内に設置し、15年度末までに沿岸監視部隊約150人を配備する計画だ。配備予定地ではすでに土地の造成工事が進んでいる。 誘致に積極的な外間守吉町長は結果を受け、工事の推進を後押しすることになるだろうが、島を思う気持ちや、島を良くしたいという思いには賛成も反対もないはずだ。町長は、反対票を投じた人びとが抱いている懸念に応える町政運営を進めてもらいたい。

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 与那国島への陸自沿岸監視部隊の配備は、政府が15年度から本格的に進める離島防衛強化の一環である。

 政府が13年に閣議決定した防衛計画大綱と中期防衛力整備計画(中期防)では、「南西地域の防衛体制の強化」を明記した。航空自衛隊那覇基地のF15戦闘機部隊を1個飛行隊から2個飛行隊に増強する。また同基地に早期警戒機E2C部隊を新設した。

 沖縄本島以西の「防衛の空白地域」を埋めるため奄美諸島や宮古島、石垣島にも自衛隊の拠点を整備する計画だ。

 誘致賛成派の勝利で南西諸島の防衛力強化が加速する可能性があるが、中国外務省は与那国島への沿岸監視部隊配備について「日本は軍事力増強の真の狙いを説明するべきだ」とけん制している。

 互いが軍備増強のみを優先すれば地域の緊張を高めるだけである。日中対話を通して関係改善に努めることが不可欠だ。

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 もう一つ懸念されることは自衛隊とその家族の転入によって、保革が拮抗(きっこう)していた町の政治状況が大きく変わることだ。13年の町長選ではわずか47票差で外間町長が3選を果たした。自衛隊の配備後は、隊員・家族らの動向が町長選の行方を大きく左右することになるのは間違いない。

 与那国町は05年に東アジアとの交流でまちおこしを図る「与那国・自立ビジョン」を策定している。今後、島の自立や自治をどういう形で発展させていくのか。引き続き論議を重ねてほしい。