【与那国】町民を分断した自衛隊誘致は「賛成」が多数を占めた。誘致から7年。一つの民意が示されたことに賛成派は「長年の夢が実現した」と喜び、反対派は「結果は受け止める」と粛々と語った。外間守吉町長は「家庭や地域を分断したことは申し訳ない」と述べ、町民融和への道筋を付けると誓った。

勝利を拍手で祝った「自衛隊に賛成する会」の陣営=22日午後9時半、与那国町・祖納地区

支持者に頭を下げて感謝を示す反対派の幹部ら=22日午後8時55分、与那国町祖納地区

勝利を拍手で祝った「自衛隊に賛成する会」の陣営=22日午後9時半、与那国町・祖納地区 支持者に頭を下げて感謝を示す反対派の幹部ら=22日午後8時55分、与那国町祖納地区

■「夢が実現」勝利祝う 関係修復課題 賛成派

 22日午後8時50分ごろ、多くの町民が見守った開票所から携帯電話で大差がついた知らせが「自衛隊に賛成する会」の陣営に届くと、「やった、勝った」と大声を上げ、頭の上に両腕で大きな「○」を作った。爆竹が鳴らされ煙が漂う中、万歳三唱で勝利を祝った。

 金城信浩会長がマイクを握り、「10年来の闘争が決着した。長年の夢がきょう実現し、明日から新しい与那国が始まる」とあいさつすると、大きな拍手が起こった。

 会理事の糸数健一町議会議長は「国境の島は国防の最前線に置かれる宿命がある。島の自衛隊配備の問題に終止符を打ち、ようやく経済や福祉政策に集中できる」と語った。

 会事務局の前西原武三町議は「小さな島では反対派も親戚、家族のようなもの。関係を修復しながら、仲良くやっていきたい」と語った。

 午後9時半ごろに外間守吉町長が陣営に合流すると、島の酒造所の泡盛で乾杯し、再び万歳三唱した。

■予想外の票差に涙 差し止め訴訟も 反対派

 【与那国】勝利を喜ぶ賛成派の爆竹が遠くから聞こえると、反対派住民は「うそでしょ」と肩を落とした。求め続けた住民投票は実現したが、想像以上の票差に女性は涙をぬぐった。反対派は「民意は認めるが、レーダー電磁波の危険性は訴えていく」と強調した。

 開票所から伝えられる速報は一時、400対250で反対派優勢を伝えていた。それから約15分後、逆転され、票差が広がると沈黙が広がった。

 「住民投票を成功させるための実行委員会」の上地国生委員長は「残念な結果だが、民意は受け止める」と表情を曇らせ、「沿岸監視レーダーの電磁波危険性は確信している。被害を広げないよう建設差し止め訴訟を提起したい」と力を込めた。