2017年(平成29年) 11月18日

社説

社説[辺野古提訴へ]建設強行の異常ただせ

 名護市辺野古の新基地建設を巡って、県と政府が再び、法廷で争うことになった。

 県議会は、6月定例会の最終本会議で、埋め立て工事の差し止めを求め県が政府を提訴するための議案を賛成多数で可決した。

 県が提訴に踏み切るのは、県の岩礁破砕許可の期限が切れたにもかかわらず、政府が新たな許可を得ることなく工事を進めているからだ。許可を受けないまま岩礁破砕行為をすれば、県漁業調整規則に反する違法行為になる。

 これに対し政府は、地元の名護漁協が漁業権を一部放棄したことで知事の許可は必要なくなった、と主張する。

 県と国の辺野古訴訟はこれで5件目となる。あまりにも異常な事態だ。

 現状に慣れてしまうと人は異常を異常と思わなくなる。仕方がないとあきらめる。政府が護岸工事を急いでいるのは来年の名護市長選、県知事選に向け、そのような空気をつくり出すためである。

 政府の国地方係争処理委員会は昨年6月、「双方が納得できる結果を導き出す努力をすること」を求めたが、政府は話し合い解決を拒否した。

 県の提訴は、安倍1強体制の下で、法解釈の変更と機動隊による強制排除によって、日米合意を押しつけようとする政府に対する、地方自治体のやむにやまれぬ異議申し立てである。

 地元の合意や理解、協力の得られない強権的な米軍基地建設は必ず、住民の尊厳をかけた抵抗運動を生み、米軍基地の存在を不安定化する。

■    ■

 大型埋め立て工事は、環境影響評価の段階から本体工事を経て完成に至るまで、「住民参加」と「情報公開」が求められる。言葉を換えて言えば、民主的であること、科学的であること、住民意思が適切に反映されることが、同時に要請されるのである。

 だが、新基地建設を巡る環境アセスは、地元の合意や理解、協力が得られないまま進められたため、悪しき前例をつくってしまった。

 オスプレイ配備を知っていながら明らかにせず、評価書段階で後出しした。方法書には軍用機の機種も運用計画も示されていなかった。

 沖縄防衛局は県の協議申し入れに従わず、米軍は県が求める臨時制限区域内の調査に応じなかった。

 岩礁破砕許可を巡っては、水産庁がかつて県に示した見解とは百八十度異なる見解が示された。官邸との協議で従来の解釈を都合良く変更したのだ。

■    ■

 橋本龍太郎元首相は当初、普天間返還の条件として「既に存在している米軍基地の中にヘリポートを建設する」と説明し、「地元の頭越しに進めない」と語っていた。これが原点だ。

 稲田朋美防衛相は、辺野古が完成しても緊急時の民間空港の利用について米側との調整がつかなければ普天間は返還されない、と国会で答弁した。

 日米両政府はコロコロ計画を変更する。県民はそのたびに蚊帳の外に置かれ、振り回される。この計画、どこから見てもほんとに異常である。

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