一体、なぜ? 何度も同じ質問をぶつけられてきたその人は、小さな声でつぶやいた。「自分でも、何がきっかけなのか分からない」。長い間、ひきこもり状態を続けていた女性に話を聞いたときのこと

 ▼せっかちで白黒つけたがる記者の性分から、いろいろ質問を重ねたが明確な答えは出ない。だが少しずつ、本人も「なぜ自分はこうなの」「これではだめだ、どうにかしたい」と苦しんでいることが伝わってきた

 ▼「怠け者」「甘えている」とレッテルを貼られ、偏見の目で見られることの多い「ひきこもり」。かつて、ひきこもり状態だった息子と8年過ごした名護市の東邦治さんは、早い段階から向き合う重要性を訴える▼最初は小さなつまずきも、学校や社会と距離が広がれば孤立は深まり、被害妄想などが現れる。取材した別の女性は「学校に行きたいが、行けない」と自己嫌悪に陥る一方、他人の言動やしぐさにおびえ何度も自傷行為に走った

 ▼先日、那覇市内で開かれた「全国若者・ひきこもり協同実践交流会inおきなわ」には、県内外から支援者や家族ら約500人が参加。居場所づくり、粘り強い支援の大切さなどを確認した

 ▼人の心は複雑。急いて事を進めれば、壊れることもある。傷が癒え、再び立ち上がる力を取り戻すには、同じくらいの時間が必要なのだ。(儀間多美子)