沖縄市泡瀬の沖合を埋め立てて人工島を造り、スポーツコンベンション拠点として開発する事業に、那覇地裁は「経済的合理性が、著しく妥当性を欠くとは認められない」との判決を言い渡した。

 計画に反対する住民が、県知事や沖縄市長を相手に工事費などの支出差し止めを求めた第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟は、1次訴訟から一転、住民側が敗訴した。

 南西諸島最大といわれる泡瀬干潟の保護とリゾート開発をめぐる裁判は、2005年に市民グループが県と市を提訴した第1次訴訟に始まる。1次では計画の実現性に疑問符が付き、一、二審とも「経済的合理性は認められない」と公金支出の差し止めが命じられた。

 工事はいったん中断するものの、市が埋め立て面積を半分の約95ヘクタールに縮小した見直し案を策定したことから再開。今回の判決は、この新たな案に対するものである。

 争点は経済的合理性、自然保護、防災対策の3点。

 1次の控訴審判決で「相当手堅い検証を必要とする」とくぎを刺された経済的合理性だったが、那覇地裁は観光客数などの需要予測は「一定の客観的な資料に基づき算出されている」と判断した。

 具体的内容には踏み込まず、原告の訴えにも正面からは答えていない。

 沖縄市は過去に第三セクターのコリンザなど「ハコモノ」で失敗を重ねた苦い経験がある。ホテルや商業施設を備えたスポーツコンベンション拠点も開発主義的な発想が色濃いだけに、二の舞いにならないか心配だ。

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 生物多様性の豊かな泡瀬干潟を守りたいという住民の思いが、そもそもの出発点である。

 干潟の変貌を悲しみ、その保全と環境アセスのやり直しを求める原告に対し、判決は「変更前の計画でアセスが実施された」「埋め立て面積の縮小で影響は軽減される」などと述べる。アセスの問題点を指摘した1次訴訟からは大きく後退する。

 「西に嘉手納基地があり、発展の可能性を泡瀬に求めるしかない」という市側の考えも分からないわけではない。基地が地域開発の大きな制約となっているからだ。

 それでも、ラムサール条約に登録する湿地の候補地にリストアップされ、県の「自然環境の保全に関する指針」で厳正な保護を図るとするランク1に指定された海域での、土地利用の在り方として適切なのかという問題は依然として残る。

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 第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟の判決は、知事や市長の裁量権を幅広く認めるもので、資料さえあれば、手続きさえ踏めば問題ないというように行政の形式を重視している。

 しかし、司法が住民の公金支出差し止め請求を退けたからといって、干潟の価値の高さに変わりはない。経済的合理性についても、県経済や近隣の大型商業施設の動向を見ながら、絶えず検証していく必要がある。

 原告の訴えを、沖縄市に突き付けられた課題として受け止めるべきである。