13歳の少年の遺体には、あざができるほど暴行を加えられた跡や、鋭利な刃物で首や顔、腕などを切りつけられた刺し傷、切り傷があったという。

 残忍な方法で暴行を加え少年を死に追いやった事件の容疑者は、18歳と17歳の知り合いの少年だった。

 川崎市の多摩川河川敷で中学1年生の上村遼太君(13)の遺体が見つかった事件で、神奈川県警は27日、18歳の少年1人と17歳の少年2人を殺人の疑いで逮捕した。

 上村君が友人と交信していた無料通信アプリ「LINE(ライン)」の通信記録や、河川敷近くの防犯カメラに映った映像などから3人が浮上した。

 バスケット部に所属していた上村君は昨年秋ごろから、他校の中学生や高校生など年長のグループとつきあいだし、部活を休むようになった。

 1月からは学校にも来なくなり、年長グループと一緒にゲームセンターや公園で遊んでいるのを何度も目撃されている。

 ほがらかで、あどけない笑顔。周りの人気者だった上村君が、年長グループの遊びの輪の中に引き込まれたのはなぜだろうか。

 年長者から万引を命じられ断ったら暴力を振るわれた、という。殴られて目の周りに黒いあざをつけたこともある。グループから抜け出そうとすると、年長者の暴力が激しくなった。今年に入って友人に対し、「殺されるかもしれない」と打ち明けていたこともあきらかになっている。上村君の悲痛な叫びは、なぜ届かなかったのだろうか。

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 上村君は、仕返しを恐れ、自身が暴力を受けていたことを隠そうとしたようだ。怖くて言えないという心理状態に陥っていたということは、年長者による暴力の支配から抜け出せなかったことを意味する。

 周りの助けが必要な状態に置かれていたのである。

 上村君が年長者に殴られていたことは、何人かの友人が知っていた。担任の先生は今年に入って何度も家庭訪問をしたが本人にも母親にも会うことができず、携帯電話でのやりとりを重ねたという。

 周囲は上村君が置かれていた困難な状況を知らなかったわけではない。上村君が「変だ」ということを多くの友人が感じ取っている。

 学校に来なくなったということは、生活上の極めて大きな変化だ。その事実に直面しながら、なぜ、上村君の発した悲痛な「SOS」に有効に対応できなかったのか。

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 上村君は2013年に島根県の離島・西ノ島から転校してきた。島の多くの友人、保護者が港に「頑張って」の横断幕を掲げ、上村君を見送った。

 事件発生以来、殺害現場の河川敷には、花束を供え手をあわせる地元住民や同級生の姿が後を絶たない。「りょうたのこと大好きだからね」と書かれたバスケットボールも供えられている。

 学校や市教育委員会など関係機関は冷静に事実を検証し、わき上がる多くの「なぜ」に答えてほしい。