安倍内閣で、大臣たちの「政治とカネ」の問題が次々と浮上している。

 政治資金規正法22条は、国の補助金交付が決まった企業や団体に対し、その通知を受けた日から1年間、政党や政治資金団体への寄付を禁じている。

 国民の税金である補助金が政治家に還流したり、補助金をもらったお礼に寄付をするといった行為を防ぐためである。

 西川公也氏が代表を務める自民党支部が、補助金交付が決まっていた団体が運営する会社から献金を受けていたことが分かり農相を辞任したのは2月23日。

 それから何日もたたないうちに、望月義夫環境相と上川陽子法相の政党支部が、同じように補助金交付が決まっていた会社から寄付を受けていたことが明らかになった。

 「交付決定を知らずに受け取った」「返金した」「承知していなかった」と自己弁護する両氏を、菅義偉官房長官は「まったく問題ない」と擁護する。

 政治家側が交付決定を知らなければ刑事責任は問われず、違法性はないとの認識である。

 付き合いのある会社や団体もあるだろうに、何を持って「知らなかった」ということになるのか。「まったく問題ない」と言い切るところに問題があると感じている国民は多い。

 「知らない」と言えば、それで済む抜け道が初めから用意されている法律なら、その不備を早急に正さなければならない。

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 政治家と業界の癒着が根っこに見え隠れする疑惑でもある。

 西川前農相は「いくら説明しても分からない人には分からない」と居直り説明責任を果たさず辞任したが、献金したのは、環太平洋連携協定(TPP)の交渉で重要項目の一つになった砂糖の業界団体が運営する会社である。

 寄付を受けた2013年当時、西川氏は自民党TPP対策委員長だった。交渉に強い影響力を持つ政治家への献金が「利益誘導」を疑われているのだ。

 昨年10月、関連する政治団体の不透明な会計処理や不適切な政治資金の支出が判明し経済産業相を辞任した小渕優子氏からも、いまだに国民の疑問に答える報告はない。

 辞めたからといって幕引きにはならない。疑惑を持たれた政治家は、国会の場で説明を尽くすべきだ。

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 第1次安倍内閣発足以降、「政治とカネ」をめぐり辞任劇が繰り返されている。ここ4カ月の間に3人もの大臣が辞める異常事態である

 問題が噴出しても安倍晋三首相は大臣の首をすげ替えるだけで、「政治とカネ」に切り込もうという姿勢が感じられない。逆に安倍一強体制の下、古い自民党体質が頭をもたげてきたのではないか。

 維新の党は27日、企業・団体献金を全面的に禁止する政治資金規正法改正案を衆院に提出した。  

 ざる法と言われる法の改正も含め、問題に正面から取り組むべきだ。