【堀江剛史通信員】ブラジル在住の赤嶺園子さん(74)=西原町出身=が、第1回ブラジル移民の追跡調査をまとめた『笠戸丸移民 未来へ継ぐ裔孫(えいそん)』(306ページ、税別2千円)が、このほど沖縄タイムス社から出版された。

完成した本を手にする赤嶺園子さん。先人の苦労を知る大切さを訴えている

 笠戸丸は1908年ブラジルに渡った初めての日本人移民船。乗り込んだ移民781人の4割を占めた沖縄県出身者325人の足跡を追った。

 「ブラジルに渡った自分が恵まれた環境にあるのも、先人の血を吐くような苦労があったからこそ」と思い立ち、ブラジル全土、隣国アルゼンチン、さらに沖縄まで墓参りを重ね子孫を訪ね歩き、数年かけ鎮魂の気持ちを込めて取材をした。「栄養失調や事故、結核で亡くなった人も多い。本にはとても書けないようなエピソードもあった」と目頭を押さえる。

 できる限り、多くの移民の死亡年月日を墓碑銘で確認、子孫の話や乗船者リスト、写真なども盛り込んだ移民研究の資料としても価値のある一冊だ。

 沖縄タイムスと提携するブラジルの邦字紙「ニッケイ新聞社」(本社・サンパウロ)が編集協力し、昨年10月発行にこぎ着けた。

 赤嶺さんは、「移住の歴史が風化している今、若い世代に読んでもらいたい。成功した人は一握り。帰りたくても帰れなかった先人の苦労をしのぶことで、古里の大事さなどを感じてほしい」と話している。今年中にはポルトガル語版の出版も計画している。県内各書店で販売中だ。