名護市辺野古への新基地建設をめぐって、政府の強硬姿勢がいよいよ際立ってきた。

 日米両政府が現在進めているのは、日米の軍事一体化を前提にした米軍基地の再編=新基地建設であり、沖縄の人々の立場に寄り添った実質的な負担軽減とは言えない。

 安倍政権の「強硬一点張り」の路線と同じことを本土のどこかで実行しようとすれば、政権は片時ももたないだろう。米軍基地をめぐって「基本的人権の二重基準」というべき事態がまかり通っているのである。

 例えば、県知事選、衆院選、名護市長選など主要な選挙で示された「新基地建設反対」の民意を考慮せず、翁長雄志知事との話し合いさえ拒否し続けていること。県の工事中断要請にも一切、聞く耳を持たず、しゃにむに工事を進めていること。反対する市民に対しては、2004年の海上警備とは180度異なる容赦ない警備を続けていること、などである。

 2月22日には、ゲート前で抗議行動を統率していた沖縄平和運動センター議長の山城博治さんら2人が米軍警備員(日本人基地従業員)によって拘束され、刑事特別法違反の疑いで県警に逮捕された。

 沖縄総合事務局・北部国道事務所は、官邸の意向を受け、風よけ雨よけの青いシートを張ったテントの撤去を求めている。キャンプ・シュワブゲート前での抗議行動を封じ込めるためだ。

 国家機関を動員し、なりふり構わず強権を発動する姿勢は、過去のどの政権にもなかったことだ。

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 辺野古で起きている事態は、あまりにも理不尽で、異常である。このまま強硬路線がエスカレートしていけば、住民の抵抗が強まり、不測の事態が起きる可能性が高い。その前に工事を中止し、話し合いに転じるべきである。

 安倍晋三首相は14年6月23日の慰霊の日に、沖縄全戦没者追悼式であいさつし、次のように語った。「基地の負担を能(あた)うる限り軽くするため、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら『できることはすべて行う』との姿勢で全力を尽くしていきます」。1月30日の衆院予算委員会では、赤嶺政賢議員の質問に対し、「選挙結果は真摯(しんし)に受け止めたい」と答えた。

 公式の場では耳ざわりのいい言葉を並べ、辺野古の現場では、強硬一点張り。「辺野古が唯一の選択肢」と語るだけで、なぜそういうことが言えるのか、ほかにどのような選択肢を検討したのか。説明責任は果たしていない。

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 辺野古の現場で起きている事態は、憲法や国内法よりも安保・地位協定が優先され、住民の声よりも米軍の意向が重視される沖縄の現実を浮かび上がらせる。

 沖縄戦後の米軍占領以来、沖縄では軍事政策がすべてに優先されてきた。戦後70年を迎えた今なお、その状態を清算することができず、陸も海もまるで「戒厳令」が敷かれているような状態である。

 戦後レジーム(体制)からの脱却を主張するのであれば、現在の辺野古の状況を解消することを優先すべきだ。