国民の税金である補助金をもらった企業から寄付を受ける「政治とカネ」の問題が、安倍晋三首相にも飛び火している。

 引責辞任した西川公也前農相、国会で追及されている望月義夫環境相、上川陽子法相と同様の献金である。「任命責任」を口にした首相だけに、自身の政治倫理も厳しく問われる。

 明らかになったのは、安倍首相が代表を務める政党支部が中小企業庁と経済産業省の補助金交付が決まった化学関連会社などから、少なくとも184万円の寄付を受け取っていたことだ。

 政治資金規正法は補助金交付が決まった企業や団体に、通知を受けた日から1年間、政党や政治資金団体への寄付を禁じている。ただし、政治家側は交付決定を知らなければ刑事責任を問われない。

 安倍首相は疑惑のあった大臣たちと同じように「献金を受けたのは事実。国からの補助金については知らなかった」と説明する。

 3日の衆院予算委員会では「知らなかったのでこれ以上言いようがない」と釈明。取り沙汰されている会社の中には規正法の例外となる「収益性を伴わない企業もある」と反論した。

 知らなければ違法性が否定されるのであれば、税金還流や利益誘導を防ぐ目的の法律は機能していないということになる。

 法律を把握していない政治家の怠慢なのか、法に不備があるのか、その両方なのか。この際はっきりさせて実効性のある対策を打ち出すべきだ。

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 1948年に制定された政治資金規正法は、抜け穴だらけの「ザル法」といわれ、汚職やヤミ献金など政治スキャンダルが発覚するたびに改正を繰り返してきた。

 政治家が自分の不利になる法律にしたくなかったからだろうと勘繰りたくもなる。規制や罰則でいくら抜け穴をふさいでも、別の抜け穴ができるという法律だ。

 企業と政治家の癒着が批判される中、95年にスタートしたのが政党の活動費を国庫でまかなう政党助成法である。将来の企業・団体献金の禁止につなげるとし、1人当たり250円を「民主主義のコスト」として徴収する。

 しかし国民の期待とは裏腹に、政党支部を通じて政治家が企業や団体から献金を受け取る新たな道がつくられることになる。

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 補助金企業の献金問題は甘利明経済再生担当相、林芳正農相、民主党の岡田克也代表へも広がる。いずれも違法性はないとの認識のようだが、互いに非難し合い、「撃ち方やめ」でうやむやにするようなことがあってはならない。

 利害が絡む企業の献金に疑念が持たれているのであり、その払拭(ふっしょく)が最優先である。

 経団連が会員企業へ政治献金の呼び掛けを再開したことも注視しなければならない。法人税減税など大企業を優遇する安倍政権への献金が何を意図しているのか。企業と政治が互いの利益のために持ちつ持たれつの関係になれば、民主主義はゆがむ。