瓶詰の2合でも30年ものの泡盛はまろやかで、ほんのりと甘かった。未開封のかめ入りは20年ものでも新酒と変わらない味だった

▼市井の泡盛好きが舌なめずりしながらいい古酒に育っているはず、とお招きにあずかるとき、悲喜こもごもにも立ち合うことになる。そこで泡盛談議に花が咲き、耳学問を授かった

▼沖縄観光連盟が実施した県内大学生への調査で、65%の学生が泡盛を「ほとんど飲まない」と回答した。理由は「おいしくない」「においがきつい」「(度数が)強い」。古くから指摘されるこうした点を克服する商品を開発してきた業界にとっては、強烈なパンチを食らった気分かもしれない

▼学生だった二十数年前、泡盛を飲む最大の理由は値ごろ感だった。今のように100円以下の発泡酒などを指す通称・10円ビールがない時代だ。アルコールを飲む機会は週1~月2回が計36%というのも、貧乏学生にとってはさもありなんだ

▼幼いころ、朝起きると頭が泡盛臭いことがあった。寝ている間に熱冷ましの代替品として使われたからだ。当時は悲しい目覚めでしかなかったが、庶民の生活に根ざした別の側面を物語っている

▼今は解熱剤代わりにはならず、若者は好まない。「君知るや銘酒、泡盛」の名文句が足元から崩れ、地酒の奥深さを知る機会が失われかねない。(与那嶺一枝)