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  • 本来いないはずの宮古島で20年前から繁殖している
  • 絶滅危惧種のミヤコサワガニを捕食し、生態系を破壊
  • 県の担当者「八重山に戻せば解決、とはいかない」

 八重山諸島で絶滅が危ぶまれるヤエヤマイシガメ。しかし宮古島では生態系を壊しているとして、本年度から駆除が進んでいる。“カメのいない島”だった宮古島に持ち込まれたヤエヤマイシガメは、約20年前から「ものすごい勢いで繁殖している」(宮古島市)状況。生息地の島で減り、いないはずの島で増えて駆除対象になる-。沖縄の島々が独自に育んできた生態系が、人間の手によって揺らいでいる。

 八重山では、以前から業者や一部愛好家による希少種の捕獲・採取が続けられてきた。石垣市自然環境保全審議会の渡辺賢一会長は「石垣発の不審な郵便物を開封したら、ヤエヤマイシガメだった」という話を聞いた。規制がなく、郵便物はそのまま送られたとみられる。「日本は捕獲や輸出入に甘い」と指摘する。

 食用などで盛んに輸出されているヤエヤマイシガメも、数年前から森で見掛けなくなったという。ワシントン条約に基づく輸出制限については一定評価するが、「遅すぎる」との思いもある。

 同審議会は動植物の捕獲・採取を原則禁止する保護地区範囲の検討を進めており、市は来年度にも保護条例を制定する予定だ。

 一方、宮古島では本来いないはずのヤエヤマイシガメが増殖し、宮古の生態系を壊していることに危機感が強まる。

 神戸市立須磨海浜水族園の笹井隆秀氏は「ヤエヤマイシガメが、絶滅危惧種で県天然記念物のミヤコサワガニを日常的に捕食しているため」と解説する。笹井氏らの共同研究でも、16個体のうち7個体の胃腸からミヤコサワガニの一部が見つかった。「宮古島の生態系に重大な影響を及ぼしかねないのが、ヤエヤマイシガメだ」と警鐘を鳴らす。

 しかし、実際は「人海戦術で駆除しているが追いつかない」(市関係者)状況だ。市は来年度から専従職員も配置し、駆除に本腰を入れる構えだ。

 県自然保護・緑化推進課の担当者は「八重山諸島のどこから来たか分からないため、宮古島で捕獲したヤエヤマイシガメを八重山に戻せば解決、とも単純にいかない。沖縄の生態系はデリケートで、外来種が一度侵入すれば取り返しがつかない」と頭を悩ませる。