2017年(平成29年) 11月20日

1935沖縄 よみがえる古里

【ヒートゥー漁】大きな短刀に銛・・・道具持参し、住民総出の追い込み漁

 棒の先に備え付けられたカギ型の鋭い刃、大きな短剣、返しの付いた銛(もり)など、家屋の外壁に掛けられた特徴的な形の道具類。名護湾近くで撮られた戦前写真には、同地域伝統のヒートゥー(コビレゴンドウクジラなど)漁で使う漁具が写されている。

名護湾で行われていたヒートゥー漁のための道具。解体時に肉を引っかけて使う手かぎや、先のとがったいくつかの銛(もり)、鋭い短刀などが並ぶ。銛の先には返しが付き棒の先に備えられており、突き刺した後に離れないようロープが結ばれている。いつでも使用できる状態で準備がなされたものと思われる(写真は朝日新聞社提供)

自身がヒートゥー漁で使う漁船の上で先のとがった銛(もり)を手にする漁師の岸本悟さん。形は昔の銛と同じだが形がコンパクトになり材質も軽くて丈夫な金属になっている。捕鯨砲なども使うという=名護漁港

名護湾で行われていたヒートゥー漁のための道具。解体時に肉を引っかけて使う手かぎや、先のとがったいくつかの銛(もり)、鋭い短刀などが並ぶ。銛の先には返しが付き棒の先に備えられており、突き刺した後に離れないようロープが結ばれている。いつでも使用できる状態で準備がなされたものと思われる(写真は朝日新聞社提供)
自身がヒートゥー漁で使う漁船の上で先のとがった銛(もり)を手にする漁師の岸本悟さん。形は昔の銛と同じだが形がコンパクトになり材質も軽くて丈夫な金属になっている。捕鯨砲なども使うという=名護漁港

 獲物にとどめを刺すための「銃剣」や大きな銛「クルサー」(「殺すもの」の意)、解体時に皮をはぐ際などに使う「カキジー」(手かぎ)など、使い込まれた漁具が、丁寧に並べられている。

 「こういう風景はよく見た。撮影されたのは3~4月ごろだと思う。すぐ使うためにこうして道具が並べられているはずだ」

 名護市に住む、岸本巽さん(60)、悟さん(55)兄弟は祖父から3代続くヒートゥー狩りの漁師。少年時代から親しんだ漁具の写真について説明した。

 2人によると、名護湾のヒートゥーの追い込み漁は3~5月が最も盛ん。満潮時を利用し、埋め立て前の名護湾の浜辺に周辺を回遊するヒートゥーの群れを誘い込み、住民総出で道具を持参し漁に参加した。

 「自宅にもこんな道具があり、漁の時期になるとさびを落として銛をロープに結び準備をした。使っていて壊れたらカンジャーヤー(鍛冶屋)に直してもらった」と思い出す。

 1980年代に自由捕獲が禁止されたため、岸本さんらは国の指導で漁獲量を制限しながら、現在6隻の船、約20人で操業を続ける。「戦前も戦後も同じようにこの道具を使っていたが、今はもっと機械化されている。昔ながらの名護のヒートゥー漁の伝統を伝える写真だ」と話した。(「1935沖縄」取材班・与儀武秀)

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