2020年の東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに禁煙対策を推し進めようとする厚労省に対し、一部の政治家が抵抗しています。喫煙は個人の自由だといった意見も少なからずありますが、人々の健康を守る医療従事者として事実を伝え、たばこのない社会づくりのお手伝いをしていきたいと思います。

 次世代のたばこである新型たばこ製品として、加熱式たばこや電子たばこが登場し数年がたちます。最近、街の至る所で目にする加熱式たばこについて述べたいと思います。

 加熱式たばことは、タバコの葉を電気で加熱し発生する蒸気を吸入します。

 火を使わないため煙が出ず、臭いが少ないため、たばこ産業は多くの有害物質の除去・健康リスクの軽減・受動喫煙の軽減などをアピールし、「マナー」「不快にさせない」といった爽やかなイメージを上手に作り上げています。このことは、売り上げが急速に伸びていることからも分かるかと思います。

 健康被害が伝えられている紙巻きたばこの国内市場は、ここ10年で約4割減少しており、歯止めのかからない現状を考えると、代替たばことして加熱式たばこが選ばれたのでしょう。たばこ産業の今後の経営方針は紙巻きたばこを加熱式に切り替えていき全国展開する方針を示しています。

 加熱式たばこについては、海外や日本禁煙学会・国立保健医療科学院が発がん性物質を含む有害物質の存在を指摘しており、産業医科大学でも特殊な光を使い、通常では見えない煙を映しだしております。現時点で安全性の確認ができておらず、使用はお薦めしません。

 厚労省によると日本の15年の喫煙率は、男性30・1%、女性7・9%となっており、ここ20年だけ見ても確実に減ってきています。国民が的確な判断をしていることが分かりますが、たばこ産業は日本市場の再開拓をしようと試みております。

 今後、加熱式たばこの急増が予想されるため、その前に正しい知識を広める必要があります。合わせて(1)若年時からの教育(2)たばこ製品の値上げ(3)法整備-を早急に進めるべきです。

 昔の禁煙は薬なしで行っていましたが、今では効果のある薬も開発され、禁断症状も少ないです。これに心理療法も行うことで成功率が上がることもわかっています。禁煙治療の条件も緩和され、未成年でも健康保険が使えます。

 ご興味のある方は、ぜひお近くの禁煙外来のある医療機関へご相談されてみてはいかがでしょうか。(譜久原弘・南山病院)