「変わりなくおいしい」と高評価の老舗菓子屋がそう言われ続けるための「変える努力」は果てがないという。

「ボンジュール、アン」の一場面

 夫の成功にも娘の自立にも精いっぱいの力を注いできたアン(ダイアン・レイン)だが、時がたてばその両方とも、もはや自分の存在を必要としていないように感じる。「これから」に漠然とした不安と寂しさを覚えるアンが「人生は楽しんだもの勝ち」を絵に描いたような夫の友人とのゆったり旅を経験する事で、自分のこれからを見つめ直してゆく物語。

 人生の残り時間が少なくなるにしたがって直面するのが、それまでの献身や努力の評価が形を変えていくこと。

 その昔勝ち取った幸福感は同じことをしていても得られないはず。そこで改めて他力本願ではない、自分の人生のプロデュースが始まっていくのだろう。(スターシアターズ・榮慶子)

◇シネマパレットで上映中