「老老介護」は、もはや一部の人の特別な問題ではない。

 厚生労働省の2016年国民生活基礎調査によると、在宅介護のうち介護する人もされる人も65歳以上の高齢者という老老介護の割合が54・7%で、過去最高を更新した。75歳以上同士も初めて30%を超えた。

 04年の調査と比べそれぞれ10ポイント以上も増加している。

 夫婦とも要介護状態で、介護度の低い配偶者が介護度の高い配偶者の世話をするという深刻な実態もある。高齢の息子や娘が親の介護のため再び同居を始めるケースも珍しくない。

 高齢化と核家族化の進行で、老老介護の割合は今後も高まるとみられている。

 調査が突き付けるのは、介護する側の切迫した姿でもある。

 同居する介護者の介護時間は、「要介護3」以上では「ほとんど終日」が最多を占めた。介護者の約7割が日常生活で悩みやストレスを抱えており、その要因に相手の介護のほか自身の体調や家計の問題、家族との人間関係を挙げた。

 本紙が5月に実施した在宅介護アンケートでも老老介護の実態は深刻で、外からは見えにくい家の中で介護者が追い詰められている姿が浮かび上がった。

 食事や排せつ、入浴の介助といった介護は、体力や筋力が落ちている高齢者にとっては負担の大きい仕事である。配偶者や親が衰えていく姿を目の当たりにすることへの不安など精神的負担も計り知れない。

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 介護が必要になった主な理由は「認知症」である。

 調査は行われていないが、介護する人もされる人も認知症を患う「認認介護」も増えていると推測される。夫婦とも認知症になれば介護どころか、生活そのものにも支障を来すのではないか。

 老老介護や認認介護といった介護力の弱い家庭を社会で支え見守っていくには、家族介護者を支援するサービスの枠組み整備が必要だ。

 重要なのは必要な時に利用できるデイサービスやショートステイなど公的サービスの充実である。家計を気にする介護者も多いことから、利用に当たっては要介護者だけでなく介護者の状態も考慮すべきだ。

 とにかく介護を一人で抱え込まないことが共倒れ防止につながる。

 気付いた誰かが声を掛け介護サービスにつなげていく、住民の「おせっかい」も大切だ。

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 介護者支援は認知症施策の国家戦略「新オレンジプラン」の柱の一つでもあった。

 しかし家族らが介護の悩みを打ち明け交流することが期待された「認知症カフェ」を設置している市区町村は、16年度末で全体の6割程度にとどまっている。

 老老介護の増加が子ども世代の「介護離職」と深く結び付いていることも忘れてはならない。

 仕事と介護が両立できるよう働き方を見直していく家族支援も待ったなしである。