9秒でまるわかり!

  • 8000カ所、毎秒200万個のデータで予測震度や規模を計算
  • 揺れの感知から7秒で緊急地震速報を発表
  • 津波や降灰など、気象庁のシステム開発を一手に

 地震発生直後、テレビやラジオで流れる緊急地震速報。防災の重要インフラとして国民生活を支えるシステムを開発したのは那覇市出身のシステムエンジニア・柴嵜(しばさき)淳さん(46)だ。持ち前の粘り強さで、実現不可能といわれた地震感知システムの運用にこぎ着けた。2002年に独立してレキオスソフト(東京)を設立。今では気象監視システムの国内シェアトップを誇る。12年には那覇支店を開設。地元沖縄でシステム開発全てを完結させる夢を描く。(照屋剛志)

職員にアドバイスする柴嵜淳代表(左奥)=レキオスソフト那覇支店

緊急地震速報を受信したスマートフォン画面(レキオスソフト提供)

職員にアドバイスする柴嵜淳代表(左奥)=レキオスソフト那覇支店 緊急地震速報を受信したスマートフォン画面(レキオスソフト提供)

 柴嵜さんの開発は気象庁が採用する地震活動総合監視システム「EPOS(エポス)3」。03年10月に運用を始め、現在は性能を高めた後継の4が動く。情報通信大手のNECが気象庁から業務を受注し、レキオスが開発、運用する。

 システムは、日本全国8千カ所の観測地点から送られる地面の縦、横、高さの動きを3次元で解析。毎秒200万個という膨大なデータで、観測地点の動きが一定数を超えると地震と判断し、予測震度や地震の規模を瞬時に計算。マスコミや通信社などを通して国民に知らせる仕組みだ。

 現在、揺れを感知して速報発表までの時間はわずか7秒。従来のEPOS1、2は大手企業が開発していたが、多額の費用がかかる上、速報発表までに1分以上かかっていた。

 柴嵜さんは機能が多すぎて動きが遅かったと分析し、気象庁と必要な情報を選び、システムがより速く動くよう機能を抑え、稼働の速さを実現したという。

 大手企業と比べて特別な技術があったわけではないと柴嵜さん。「人命に関わる重要なシステムを採算度外視で昼夜議論し、開発に没頭した」と振り返る。「国民の役に立ちたいとの使命感」を支えに気象庁の職員と共有、世界最先端の技術開発につなげた。

 東日本大震災のマグニチュード9は想定外だったが、2週間、職員8人と気象庁に泊まって監視。システムは止まることなく、国民に情報を発信し続けた。この実績が認められ、今では気象庁のシステム開発を一手に引き受ける。津波、降灰、航空気象情報など業容も広がった。

 柴嵜さん(旧姓上原)は小禄出身。小禄高校を経て航空自衛隊に入ったが、海外で働きたいと1990年に千葉県のIT企業に入社。その後、数社でシステム開発の技術を身に付けた。

 故郷沖縄に対する思いも強く、2年前から開発業務を東京本社から徐々に沖縄に移している。「中央官庁のシステムはほとんどが首都圏で開発している。沖縄でもできるということを証明したい」と意気込む。