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  • 指笛や喉を鳴らし、動物の鳴きまねをする“人笛奏者”
  • ザトウクジラやアカショウビンなどレパートリーは多彩
  • バンド人生の末、確立した芸で年120回のショーをこなす

 【那覇】ヤンバルクイナにアカショウビン、ザトウクジラにイルカなど、石垣市出身の玻座真忠雄さん(77)=那覇市辻=は全身で沖縄の生き物の鳴き声をまねする“人笛奏者”だ。観光客などを相手にした司会の合間に、年間120回以上のステージで披露する。指はもちろん、喉や舌、手のひらを使って鳥や昆虫などの鳴き声を表す。バンド人生の末、新たに発見した芸に「これからが再デビュー」と意気込む。(我喜屋あかね)

動物の鳴き声をまね、客を楽しませる玻座真忠雄さん(右)=5日、那覇市辻の料亭那覇

 「沖縄の指笛、甲子園でみなさんも聞いたことあるでしょう」。午後7時半、市辻の料亭で玻座真さんの指笛が鳴る。甲子園応援ソングの定番「ハイサイおじさん」。20畳ほどの宴会場いっぱいに甲高い音色が響き渡った。

 「キュキュキュキュキュ…」。次に聞こえてきたのはヤンバルクイナ。続けて「キョロロロロロ」とアカショウビンが鳴き始めた。誰にもできない人笛芸だ。

 子どものころから歌が好きだった。小学3年生の時、担任に「声がいい」と褒められ、合唱団に入団。19歳のとき、八重山地区代表としてラジオ放送ののど自慢大会に出場し、優勝した。その後はバンドを結成し、米軍基地を回ってヨーデルやハワイアン音楽を歌い歩いた。

 90年代前半、所属バンドが解散し、ソロ活動を余儀なくされた。司会者として県内を回る日々。ショーの合間を埋めようと思いついたのが、人笛による動物の鳴きまねだった。観客から「似てない」「そんなのいるか」とやじが飛んだが、喉の筋肉を鍛えるなど改良を重ね、5、6年で人笛芸を確立した。

 「まずは音程をしっかり取ること。鳥がどれぐらいの高さで鳴くのか、レの音かソの音か、しっかり聞き分けるのがこつ」。超音波のようなイルカやザトウクジラは、喉の上部に音を当てるイメージだという。「誰にもできないことに挑戦したい。ほかの鳴き声も開拓しないと」と、まだ研究は終わらない。

 「アァーキュイキュイキュ」-。ザトウクジラのラブソングを聴かせてくれた。オスがメスに向けて奏でる歌は、まるで海中にいるかのようにどこまでも響いていた。