東日本大震災から4年。津波によって未曾有の過酷事故を起こした東京電力福島第1原発では廃炉に向けた作業が進むが、事故の収束は見通せない。事故で県内外に避難している住民は、なお12万人に上る。あの日から多くの人が、出口の見えないトンネルにいるような思いを強いられている。

 30~40年かかるとされる福島第1原発の廃炉作業。前例のない取り組みだけに相次ぐトラブルに見舞われている。廃炉への道のりは、実質的には緒に就いたばかりといえよう。

 課題の一つが汚染水の問題だ。先月下旬、汚染水が海に流れ出ていたことを、東電が1年近く黙っていたことが発覚した。

 汚染水は2号機の建屋屋上にたまっていた雨水だった。高濃度の汚染された雨水が排水路から外洋に流出していたのである。東電は大雨のたびに排水路の放射性物質濃度が上がることを認識していた。

 原子力業界の隠蔽(いんぺい)体質がまたもあらわになった。住民や漁業関係者の憤りは当然である。国や東電は、積極的に国民に情報を開示しなければならない。

 福島第1原発では、原子炉建屋に流入した地下水が、溶け落ちた核燃料に触れ、1日に300~400トンの汚染水が発生している。

 汚染水の問題は、いまだに抜本的な対策の実現には至っていない。建屋への地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」の建設も進められているが、効果を疑問視する声もある。

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 過酷事故を起こした原発の廃炉作業は、高い放射線量との闘いでもある。東電は昨年12月、4号機の使用済み核燃料の取り出しを完了したが、メルトダウン(炉心溶融)を起こした1~3号機については高い放射線量に阻まれ、作業が難航している。

 建屋内の除染が思うように進まず、使用済み核燃料の取り出しに向けた調査なども遅れている。炉内に溶け落ちた核燃料の状態などは分かっていない。

 安倍晋三首相は、東京五輪の招致演説で「(原発の)状況はコントロールされている」と語ったが、福島第1原発の現状とはほど遠いと言わざるを得ない。

 政府は昨年、廃炉作業への国の関与を強めるための組織を発足させている。廃炉作業を最重要政策として取り組み、収束に向けたペースを速めるべきだ。

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 復興庁が実施した住民意向調査によると、福島第1原発周辺の浪江、双葉、大熊、富岡の4町で帰還の意向を持っている人は1~2割にとどまっている。

 長引く避難生活で、先行きが見通せず帰還をためらう人。あるいは、避難先での新たな生活が軌道に乗り始めた人もいるだろう。

 福島原発事故に関しては、被災者への関心や事故の風化が進んでいると感じている人も少なくないとも言われる。原発事故は次世代へも影響を及ぼす問題である。国民一人一人が事故と向き合い、どのような支援ができるか、考え続けたい。