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  • 沖縄県が強毒のヒアリ「ゼロ宣言」、強固で高密度の監視網に自信
  • 昨年4月から沖縄全域にトラップ設置し、データを収集・分析する
  • 羽アリを捕捉できる全国唯一の罠もあり「防除戦略の先手打てる」

 強い毒を持つ南米原産のアリ「ヒアリ」が国内で初めて兵庫・神戸港で発見された5月以降、沖縄県は全国に先駆けて「ヒアリゼロ」宣言を発表した。その背景には、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の「OKEON美ら森プロジェクト」が仕掛けたトラップ74基をはじめとする環境観測網の存在があった。プロジェクトコーディネーターの吉村正志研究員は「沖縄はいま、全国で最も強固で密度の高いヒアリ監視網を敷いている。他の特定外来生物の侵入にも応用できるのでは」と語る。(社会部・篠原知恵)

「OKEON美ら森プロジェクト」に取り組む吉村正志さん(左)と小笠原昌子さん=25日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学

 プロジェクトは2016年4月にスタートし、糸満市から国頭村までに高さ1・7メートルのテント型トラップ72基を設置。県のヒアリ対策事業で那覇・石垣港にもトラップ2基を加えている。2週間で1基に集まる昆虫類は少なくとも千匹、多ければ1万匹にも上るという。これらを地元スタッフが1匹ずつより分けてデータ化し、標本を収集し分析している。

 ヒアリの監視は、行政と連携して差し迫った課題に対応した初めての事例。トラップは「働きアリ(非繁殖虫)」だけでなく、拡散しているかが早期に分かる「羽アリ(繁殖虫)」を捕らえることができるのが特徴だ。全国で羽アリを捕らえられる網羅的な観測網が実現しているのは沖縄だけ。吉村研究員は「どの程度、拡散しているかが分かる可能性がある。万が一の侵入に備えて、防除戦略の先手が打てる」と語る。

 同プロジェクトは29日午後1時から、OISTセンター棟B250でシンポジウムを開く。ヒアリが国内で初めて見つかった「兵庫県立人と自然の博物館」の橋本佳明研究員が自然史博物館の役割について講演するほか、プロジェクトを共に進める県立辺土名高校や読谷高の生徒らの報告もある。入場無料。