名護市辺野古への新基地建設をめぐって、中谷元防衛相は13日の閣議後会見で、新基地に反対する知事とは「会っても意味がない」と語った。

 民主主義のイロハも知らない暴言である。名護市長選、県知事選、衆院選で示された沖縄の民意を無視した傲岸(ごうがん)不遜な態度に強く抗議したい。

 官邸・防衛省・沖縄防衛局は12日、再三にわたる県の中止要請にもかかわらず、埋め立て工事に向けた辺野古沖のボーリング調査を半年ぶりに再開した。海底の地質を調べる掘削は13日も続いた。 

 さまざまな問題点が指摘されている前知事の埋め立て承認を唯一の根拠に新県政との対話を拒み、反対派市民の抗議行動を強権で封じ込める。米軍政下の軍事優先政策を思わせる強引さだ。

 調査再開について菅義偉官房長官は、1999年に県と名護市が米軍普天間飛行場の辺野古移設に同意しているとも主張したが、この指摘はあまりにも一面的である。

 稲嶺恵一知事は「軍民共用」と「15年使用期限」の条件を付けて辺野古沿岸域への移設を認め、それを前提に岸本建男名護市長も条件を付して移設を容認した。

 しかし計画は頓挫。日米両政府が2005年10月に合意した沿岸案(L字案)には、稲嶺知事も岸本市長も反対した。

 06年5月、在日米軍再編の最終報告で示された現行案(V字案)は、国が一方的に計画を変更したものである。すでに岸本氏は市長を退任し亡くなった後で、稲嶺知事もこの案には同意していない。

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 昨年12月、翁長雄志氏が知事に就任して以降、安倍晋三首相や沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅官房長官と面談できない状態が続いている。

 埋め立て承認を検証する県の第三者委員会が終了するまで海上作業を中止するよう申し入れても聞く耳を持たず、コンクリートブロックの投入でサンゴ礁が傷ついたとして知事が出した作業停止指示にも素知らぬ顔だ。

 日本政府だけではない。サンゴを調べるため県が求めた臨時制限区域内の立ち入りを米軍は拒否している。

 臨時制限区域は反対派住民を閉め出そうと、昨年急に設定されたものである。市民が座り込みを続けるキャンプ・シュワブゲート前のテント撤去の警告とあわせ、政府に不都合な声を抑え込むという、あからさまなやり方だ。

 防衛局による環境監視等委員会資料の改ざん問題が明らかになり、委員会副委員長が辞任の意向を示す中での掘削再開は尋常ではない。

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 辺野古容認の候補が続けて敗れた選挙結果を「真摯(しんし)に受け止めたい」としながら、工事を強行する安倍首相。その言行不一致は、本土向けの言葉と沖縄に対する行動を使い分けるものであり、「法の下で平等な保護を受ける権利」という民主主義の原則に反する。

 翁長知事には岩礁破砕許可の取り消しや、第三者委員会の検証に基づく承認の「取り消し」「撤回」の決定など、早急な対応が求められる。

 時間の余裕はない。