教育を受ける機会を等しく保障するという制度の趣旨に沿った適切な判決である。

 朝鮮学校を高校無償化の対象から外したのは違法として、大阪朝鮮高級学校を運営する「大阪朝鮮学園」が国に処分の取り消しと適用の義務付けを求めた訴訟で28日、大阪地裁は学校側の全面勝訴を言い渡した。

 同種の訴訟は全国5カ所で起こされており、無償化を命じる初の判断だ。

 争点となったのは、無償化の対象外としたことの是非、学校と北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係である。

 国が無償化除外を決めた2012年12月、下村博文文部科学相は「朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係があり、拉致問題が進展しておらず国民の理解が得られない」とその理由を説明した。北朝鮮に対する安倍政権の厳しい姿勢を示す狙いがあったとみられる。

 判決は当時の下村氏の見解を、教育の機会均等の確保とは無関係な「外交的、政治的意見に基づいたもの」と指摘し、違法、無効だと結論付けた。

 拉致問題に厳しく対処するのは当然だとしても、子どもの教育に政治を絡めるべきでないという筋の通った論である。

 国は朝鮮総連との関係を挙げて就学支援金が授業料に充てられない疑念も主張した。しかし判決は「不当な支配」につながる特段の事情を認めなかった。

 適用要件の可否判断にあたり、教育に対する行政の過度な介入を戒めたのである。

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 高校無償化は経済的負担の軽減と教育機会の均等を目的に民主党政権で始まった。  当初は朝鮮学校も審査の対象だったが、北朝鮮による韓国砲撃で審査が中断。第2次安倍政権発足後、拉致問題などを理由に対象外となった経緯がある。

 全国5カ所で係争中の同種訴訟のうち、今月19日にあった広島地裁判決は国の裁量権を認め、原告側が全面敗訴した。大阪地裁とは正反対の判断である。

 広島地裁は朝鮮学校と朝鮮総連の関係について国の主張を追認するが、もし仮にそうであったとしても両者の関係をただせばいいだけの話だ。生徒に対する支援とは切り離して考えるべき問題ではないか。

 無償化法が、朝鮮学校を除くインターナショナルスクールなど外国人学校に広く適用されているのは、子どもの学ぶ権利を保障する制度だからにほかならない。

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 朝鮮学校は、戦後、在日朝鮮人たちが母国語を取り戻そうと各地で始めた民族学校が原点である。現在は全国に66校あり、日本で生まれた子どもたちが「ルーツを学びたい」と通うケースが大半だ。

 高校無償化の対象から朝鮮学校を外す対応が、ヘイトスピーチの横行など排外主義を助長している側面を見落としてはならない。

 教育基本法は人種、信条によって差別されないとうたっている。

 政府は今回の判決を重く受け止め、教育上の観点から制度の在り方を見直すべきだ。