2015年からの5年間で達成すべき目標を掲げた政府の「少子化社会対策大綱」案が明らかになった。少子化が「社会経済の根幹を揺るがしかねない」との強い危機感がにじむ内容だが、重要なのは、若い世代が子どもを生み育てようという気持ちになれる中身かどうかだ。

 大綱は少子化社会対策基本法に基づき、5年に1度改定されている。

 新しい案では、男性の育児休業取得率を20年に13%に引き上げる目標を設定するなど「男性の働き方の見直し」が重点の一つとなっている。

 女性だけに偏る家事や子育ての負担が少子化の一因でもあり、そのためには男性の意識や行動を変えていく必要がある。

 しかし道は険しい。13年度の調査で男性の育休取得率は2・03%。当初、国は12年までに5%の目標を掲げていたが及ばない。イクメンがこれだけ注目される時代になっても、この伸びだ。

 連合が13年に実施した調査では、子どものいる男性の45・5%が「育休を取得したかった」と振り返り、11・6%が「子育てのための制度利用が認められなかった」などパタニティー(父性)・ハラスメントを受けた経験があると答えている。 

 働く男性の育休取得を妨げているのは「職場の雰囲気」や「上司の無理解」などである。

 20年までに13%とする目標は、子育てに不寛容な日本の企業風土を土台から変えていかなければ、達成できそうにない。 

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 大綱案は、妊娠・出産した女性への嫌がらせなどマタニティー・ハラスメント(マタハラ)を防止するため、企業への指導強化も盛り込む。

 男女雇用機会均等法などで妊娠、出産を理由にした不利益な取り扱いが禁止されているにもかかわらず、実際は妊娠が分かると退職を迫ったり、心無い言葉を浴びせたりするマタハラが横行している。

 連合の別の調査では妊娠経験のある女性の5人に1人がマタハラに遭っていた。

 いまだに働く女性の約6割が第1子出産を機に仕事を辞め、立場の弱い非正規労働者の約7割が女性であるという現実と、このことは無縁ではない。

 子どもを持つことがハンディとならないような社会を、少子化対策の出発点とすべきである。

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 合計特殊出生率が戦後最低となった1990年の「1・57ショック」をきっかけに国は少子化対策の検討を始めた。94年に策定された「エンゼルプラン」以降、いくつもの計画が打ち出されたが、結果的には失敗続きであった。

 先進国の中で子育てへの公的支出が低いと言われてから何年もたつ。育児への手厚い支援も役所や大企業にとどまっているうちは効果が薄い。

 人口減少の流れが加速する中、小手先の対応ではどうにもならないところまで来ている。企業の意識改革に踏み込み、政策実行のための財源を確保する。政治に課せられているのは成果だ。