【連載「働く」を考える】第3部 働きやすさ求めて

◆新城優子司法書士事務所

朝礼後の事務所。代表の新城優子さん(左から2人目)は「前は私に来ていた仕事の依頼がスタッフを通して来るようになった。皆が営業マンになっている」=那覇市壺屋、新城優子司法書士事務所

 全員がリーダーという理念を掲げる「新城優子司法書士事務所」(新城優子代表、那覇市)。今は総勢11人と司法書士事務所としては大所帯となったが、3年前、スタッフ6人のうち3人が辞めるピンチに見舞われた。

 事務所の存続の危機に直面したことが、仕事のやり方を見直す契機になった。

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 代表の新城さん(37)が事務所を立ち上げたのは8年前。資格取得からわずか3年後だった。働いていた事務所の代表が急逝し独立を余儀なくされた。補助業務を担う4人のスタッフと5人での出発だった。

 司法書士業務はすべて単発の契約。仕事を得るために外回りに奔走した。仕事は増えていったが、新人が入っても続かず、やがてベテランも辞めていった。業務過多になって従業員が辞める悪循環になっていた。

 「外にばかり意識がいき従業員が行き詰まっていることや、その家族のことなどが見えていなかった」

 悩みを深める中で受けたセミナーで、全員参加でつくる経営戦略の方法を知った。2015年4月にスタッフ全員で1泊2日の合宿を実施。「自分たちは何のために働いているのか」「どんな事務所にしたいのか」など、初めて本音で話し合い、皆で事務所の理念やビジョンをつくった。

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 そこから手探りで、仕事のやり方を変えていった。新城さんが1人で仕事を抱え込まず、役割を決め、業務を分担するようにした。

 毎日の朝礼のほか「まとめ会」「マネジメント会議」などで、業務に関する情報を共有し、経営・組織運営を一緒に考える。合宿も継続している。

 人材育成にも力を入れ、内外の研修を通して、業務のスキルアップのほか教養も高め合っている。個人の予定が立てやすいように、その日程はあらかじめ年間計画表で示している。

 開業当時から勤める与那覇和美さん(55)は「仕事を任されるようになってから、勉強する機会が増え、チームワークが良くなった。家庭のことも配慮してくれるから仕事もがんばれる」。入社2年目の玉城優斗さん(26)は「何でも話せて雰囲気が明るい。アクシデントは皆で共有して改善している。ビジョンに自分のやりたいことも入っているので取り組みやすい」。

 変化は業績にも表れ、昨年の登記依頼件数は行き詰まった14年の1・5倍になった。5月のゴールデンウイークには月の約3分の1に当たる9連休を取得させたが、今年の業績は昨年を上回るペースという。この3年、退職者もいない。

 新城さんは「働きやすい職場づくりの土台になるのは、自己開示しやすい環境。私もかつて強がって自分の大変さを見せられなかった。システムだけ取り入れてもだめ。まずその土台となる信頼関係をつくることが大切」と力を込めた。(学芸部・高崎園子)