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  • 国頭村での林道建設事業で、県の公金差し止めを求めた裁判
  • 那覇地裁は事業が休止中であることなどを理由に訴えを却下した
  • 判決は事業再開は是認できないとしており、原告は「実質勝訴」

 県が国頭村で計画する林道建設事業で、自然写真家の平良克之さん(63)ら市民9人が県知事に公金支出の差し止めなどを求めた訴訟の判決が18日、那覇地裁であり、鈴木博裁判長は、事業が休止中であることなどを理由に訴えを却下した。一方、事業再開について「現状のままでは、社会通念上是認できず、(知事の)裁量権の逸脱・濫用(らんよう)と評価されかねない」と指摘。原告側は「実質勝訴」として、控訴しないことを決めた。

判決の意義を語る平良克之原告団長(右から2人目)=18日午後、那覇市松尾・沖縄合同法律事務所

判決の意義を語る平良克之原告団長(右から2人目)=18日午後、那覇市松尾・沖縄合同法律事務所

 対象は、県が2005年に策定した「沖縄北部地域森林計画」による林道8本の開設事業。2本は完成したが、環境影響評価を理由に1本は中断、残る5本も未着工で、計6本の事業は休止している。

 判決は、却下の理由に「実施に向け、現時点で公金支出されることが相当の確実さをもって予測されるとはいえない」ことを挙げ、原告らに訴えの利益はないと判断。再開に必要とされる環境省からの指摘に対する調査、検討など「県や村が実施への具体的な手続きをしていると認めるには足りない」とした。事業に違法性はないとして、損害賠償請求は棄却した。

 他方、判決は、県の環境行政について「沖縄北部地域が世界的にみても生物多様性上、重要な地域だと明確に打ち出し、環境保全に本格的に乗り出そうとしている」と指摘。事業の採択時とは「顕著な変化」があり、同地域の林道開設を含む林業に関わる事業には「環境行政との調和を図ることが求められている」と環境への広い配慮を求めた。

 費用対効果指数については、算出根拠が明らかでない便益が計上されているといった問題点を指摘した。

 平良さんは「やんばるの生物多様性の重要性を裁判所が認めた。相当満足している。運動の弾みになる判決だ」と評価した。