国会でかつての戦争遂行スローガンが唐突に飛び出した。16日の参院予算委員会での三原じゅん子議員(自民)の「八紘一宇(はっこういちう)」発言である

 ▼「世界を一つの家とする」という意味だが、第2次大戦時には、日本が盟主となってアジアを支配するとの文脈で使われて、侵略正当化の標語としてうたわれた。こうした歴史から、この言葉に複雑な思いを抱く人は少なくない

 ▼昭和天皇も地方訪問の際、この4文字が刻まれた塔の前で歓迎を受けるのを避けた。中曽根康弘元首相も言葉の精神について「それが失敗のもとだった」との認識を国会で示している

 ▼三原氏は「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」とも言った。国際的な租税回避について質問する中での発言だが、全く関係ない問題で、なぜこの言葉を使ったのか、本人のブログの言い分を読んでも釈然としない

 ▼一昔前なら、議場が大騒ぎとなっただろうが、今の国会は野党議員も聞き流し、おとがめもない。戦争の悲惨さを知る議員が減り、過去の国の過ちに学ぶという意識も乏しいのだろう。議員から歴史修正主義や復古的な発言が何度も出てくる

 ▼明治の外交家、陸奥宗光は「成り上がりのナショナリズムくらい、始末の悪いものはない」と述べている。戦後70年が、始末の悪い時代に入る節目となってはならない。(宮城栄作)