トランプ政権発足から半年が経過した。高官人事は大幅に遅れ、主要閣僚の辞任の可能性も飛び出すなか、人事に多用された元軍人らが政権の中枢に根を下ろし、意思決定プロセスの中心役を担うなどホワイトハウスの力学が変化。外交よりも軍や国防総省の意向が優先される状態に、専門家らは「政策が軍事化している」と警鐘を鳴らしている。

 米議会の承認が必要な約500の主要高官ポストのうち、承認されたのは7月17日時点で49人。国務省では32のポストのうち、決まったのは1人。そのため、重要な意思決定が先送りされる状態が長期化。ホワイトハウスが外交・安保政策を取り仕切るようになり、トランプ大統領が多用した軍出身者らを中心に、外交問題を軍事的手段で解決しようとする姿勢が強まっている。

 ティラーソン国務長官は、人事が滞り省内が穴だらけの状態にたまりかね、ホワイトハウスと激論を展開した末に辞任する意向を示したと報じられるなど、トランプ政権と歯車がかみあわない内情を露呈した。

 それとは対照的に、トランプ氏との距離をぐんと縮めているのが国防総省と軍だ。

 トランプ氏は、首席補佐官を辞任したプリーバス氏の後任に、ケリー国土安全保障長官を指名した。第1海兵遠征軍司令官としてイラク戦争に参戦し、中南米を統括する南方軍司令官も務めたケリー氏は、マティス国防長官と同様、海兵隊出身で、軍内部からの信望が厚いといわれている。

 就任前から早々と辺野古移設計画を支持してきたマティス長官は、北朝鮮情勢などを念頭に沖縄は海兵隊が前方展開する重要な軍事拠点として強化すべきだとの考えで、ケリー氏も足並みを揃えてトランプ氏に進言していくものと思われる。

 トランプ劇場から遠く離れた沖縄では、パラシュート降下訓練や嘉手納旧海軍駐機場の継続使用問題、外来機の飛来や深夜・早朝の騒音問題など、在沖米軍は地域住民の生活を顧みることをまったく忘れてしまったかのように振る舞い続けている。

 従来は、こうした場面で米軍のブレーキ役となっていたのは国務省だった。ハガティ新駐日大使が着任すれば、連絡調整も円滑になるのではないかとの期待もあるが、国務省本部が弱体化している今、ホワイトハウスに取り仕切られる恐れもある。

 まだまだ不安定なトランプ政権の外交の行方は定かではないが、少なくとも一つ言えるのは、ホワイトハウスと米軍の一体化が加速しているということである。(米国特約記者・平安名純代)