瀬嵩の浜に集まった3900人の表情には、民意を顧みない日米両政府への怒りと、豊かな海を守り抜く強い決意があふれていた。

 名護市辺野古への新基地建設に反対する県選出国会議員や県議、市民団体でつくる「止めよう辺野古新基地建設実行委員会」が主催した同市瀬嵩での集会だ。

 会場となった砂浜は目の前に大浦湾を望む。穏やかで美しい海だが、常時立ち入りを禁止する臨時制限区域を示すフロートが、湾を取り囲むように張り巡らされている光景は異様である。

 海上では、基地建設に抗議するカヌー隊と海上保安庁職員とのにらみ合いが続いていた。そこが今、日米両政府によって沖縄の海と県民が遮断されている現場だ。

 集会には、翁長雄志知事の代理として県首脳で初めて安慶田光男副知事が出席した。「知事が近いうちに必ず最大の決意、決断をする時期が来る」。安慶田氏の発言に会場が沸いた。

 新基地は造らせない-。瀬嵩の浜を包んでいたのは、知事の強い決意と県民の意思が揺るぎないものであることを示す一体感だった。

 前知事の仲井真弘多氏は2011年、雑誌のインタビューでこう語っている。

 「仮に知事の私が埋め立て許可を出しますと言っても、反対する市民がみんなで抵抗したら工事はとてもできない。できないことを両政府が決める意味が分からない」

 まさに今、現実は仲井真氏が語っていた方向に向かいつつある。

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 新基地建設に向けた国と米軍のなりふり構わぬ姿勢は目に余る。仲井真氏が埋め立て承認の際に環境保全の担保とした国の環境監視等委員会は、機能を果たしていない。

 議事録は委員会開催から9カ月余りたってから公表された。資料の改ざんも発覚した。委員会への配布資料で3本と明記された仮設桟橋・岸壁の数が公開時には1本に書き換えられていた。

 同委員会の副委員長を務める琉球大学の東清二名誉教授は辞意を表明している。「結論ありきで、専門家のお墨付きをもらうためで意味がない」という理由からだ。

 サンゴ損傷が疑われる臨時制限区域内への県の立ち入り調査を米軍は不許可とした。一方で、沖縄防衛局は同区域内で潜水調査を行っていたことも明らかになった。あからさまな「二重基準」である。姑息(こそく)な手法は、そもそも計画に無理があることを証明しているようなものである。

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 安倍晋三首相は「辺野古が唯一の選択肢だ」と繰り返し述べるが、これこそ欺瞞(ぎまん)に満ちたものだ。選択肢のない政策などあり得ない。辺野古以外の選択肢を日米両政府で検討すべき時だ。

 もしこれ以上、強行すれば、さまざまな破壊が進むことになる。大浦湾の豊かな生物多様性は破壊され、地域づくりに取り組んできた住民の結束は破壊される。それが日米関係の不安定化を招き、結果としてマイナスになるだろう。両政府はそのことに早く気付くべきだ。