この人は今の沖縄をどう見ているだろうか。1950年代、米軍による土地の強制接収に非暴力の抵抗を貫き、「沖縄のガンジー」と称された伊江島の故阿波根昌鴻さん(1901~2002年)。命日の21日、名護市瀬嵩の浜で開かれた集会に、阿波根さんの木彫りの像が現れた。

「集会に参加してもらいたくて」。阿波根昌鴻さんの木彫りを抱く金城実さん=21日、名護市・瀬嵩の浜

 「島ぐるみ闘争の種火となった阿波根さんを、集会に参加させよう」。像を作った彫刻家の金城実さん(76)が呼び掛け、伊江島の資料館「ヌチドゥタカラの家」からこの日、会場に運び込まれた。

 亡くなって13年。館長の謝花悦子さん(76)は「今の沖縄を見たら、天国で落ち着いておられないでしょう。今こそ非暴力の闘いが必要だと思っているのではないでしょうか」と想像する。

 ある光景がよぎる。連日、権力と民意がぶつかり合う米軍キャンプ・シュワブゲート前。新基地建設に反対する人が警察官や国の役人、米兵に対し、荒々しい言葉をぶつけていた。国が強行に事を進めるたび、それにあらがう人の言葉も先鋭化することがある。

 阿波根さんが1954年に唱えた抗議行動のルール、「陳情規定」にはこういうものがある。「道理と誠意を持って幼い子供を教え導く態度で話す」「決して短気をおこしたり相手の悪口を言わない」「沖縄人同士は決してケンカしない」

 金城さんも想像していた。「阿波根さんなら、住民の闘いで必要なのは武器じゃなくて知恵だよって言うんじゃないかなあ」(榮門琴音)