「残り4秒、面白いことをやろう」。前半終了間際、興南高校の応援席から声援が飛んだ

▼福島市であった全国高校総体の男子バスケットボール2回戦、対戦相手のスローインという場面。「しっかり守ろう」や「集中しよう」ならよく耳にするが、「面白いこと」を呼び掛けるのは新鮮だ

▼試合後、井上公男監督に尋ねてみた。返ってきた言葉は「まねるよりもクリエーティブに。自分たちで考え、ほかにはないものを築き上げたいんです」。笑みを浮かべてチームの方針を教えてくれた

▼試合では、NBA(米プロバスケ)を彷彿(ほうふつ)とさせる大胆なパスや着想豊かな動きが随所に見られた。ミスも出るが、それを恐れない積極性が目を引く。高校バスケでも異色の存在なのだろう。数々の試合を見てきたバスケ専門誌記者が「沖縄はリズムが独特で、見ていて楽しい」と話していたのが印象的だった

▼出場選手だけではない。ハーフタイムでは控え選手らが応援歌を合唱したり、コントを演じたりして、場を盛り上げた。他のチームではまずお目にかかれない

▼「やっている僕らも楽しみ、見ている人も楽しめるプレーがしたい」。平良陽汰主将は個性を生かすチームカラーをこう表現した。勝ち負けも大事だが、何よりこの瞬間をみんなで楽しむ-。真剣勝負の中に県民性がのぞいた。(西江昭吾)