毎年5月になると、ハワイを中心とする太平洋諸島民族伝統祭りが、ニュージャージー州の中部に所在するマクグァイア空軍基地内で行われる。4軍基地の合同による“Joint Base”主催で空軍基地のコミュニティーセンターは300人で満席となる。

(上)「I AM BEYOND(人種や文化の違いを超えて)」をテーマにした去年の太平洋諸島民族伝統祭りのポスター(下)筆者宅のハイビスカス

 5月末のイベントだが 3月ごろから参加グループが呼び掛けられ、それぞれ出場が決定される。今年はすでに日本代表が沖縄のグループに決まり、その準備に取り掛かっている。20分間の披露である。時間短縮の古典舞踊「四つ竹」で始まり、雑踊りの「かなよ~」、武扇の舞、そして空手、古武道などのデモは必須。最後に総出でパーランクーエイサーを「海ヤカラー」で終わる。それも空手スタイルなので沖縄雰囲気には事欠かない。海外では沖縄と言えば、第2次大戦、マリンベースで知られているが、やはり何と言っても空手である。

 フィリピン、沖縄、韓国、中国、そして主役のハワイアンフラダンサーたちと近隣諸島の男性のたくましい踊りは、熱気に達した会場から大喝采を浴びる。

 幕開けは毎年日本だ。それはアジア諸島国が“Rising Sun”(ライジングサン)で、日出づる国、地球で太陽が真っ先に当たる国、日本が朝日の島国だからである。

 辞書の中で「上昇」という漢字がちらつくと ふと沖縄の現在の状況が脳裏をよぎる。学童期には、親戚が久志区域に住んでいたので、よく遊びに行っていた。遊び泳いだ辺野古や瀬嵩の青い海が目に浮かぶ。小魚、タコ、貝類などの海産物が豊富に採れ、のんびりした風景を思い出す。一つの漢字を見てすぐに沖縄の現状問題が浮かぶ、私の反射的作用である。それなりに私は誇り高きウチナーンチュとして自他共にきちんと認識している。

 人種だけでなく、身分社会、年齢や性別などによって偏見を抱き、あるいは差別される。それは大昔の大和の時代からあった。

 2カ月前に「偏見と差別」をテーマにした取材中、黒人系スペイン男性に、日本人の場合は大変丁寧だけど偽善的だよね、とはっきりと言われた。その男は沖縄はプエルトリコと事情が似ているとも言った。

 このアジア太平洋諸島民族祭りの裏、つまりそれを毎年実施する真の目的は、今まで述べてきた偏見、差別意識を自覚させることでもある。そして社会を堕落させ腐敗させる差別行動を防止するための倫理教育なのである。

 米国のほとんどの公務機関、市町村役場、義務教育現場、大学、そして軍事施設でもその教養文化の教育が実践される。文化交流やスピーチによって個人の内面、つまり内観につなぐ識別能力を要請しようというのが目標なのである。そしてそれは国からの当然の義務的倫理教育でもある。(てい子与那覇トゥーシー通信員)=最終月曜掲載