市町村から土地を借りて農作物を育てる「貸農園」の人気が、じわりと広がっている。週末に家族で土いじりをしたり、収穫した野菜を売ったりと活用法はさまざま。用意された区画数より応募者が上回り、抽選になった自治体もある。(学芸部・榮門琴音)

野菜の苗を植える仲嶺さん一家。子どもたちは野菜好きになったという=7月29日、沖縄市池原・市民ふれあい農園

 週末の昼下がり、沖縄市池原にある市民ふれあい農園で、同市在住の仲嶺優子さん(40)さん一家が農作業に汗を流していた。

 ことし4月から借りている15坪の畑で、オクラやキュウリ、ゴーヤーなど10種類を育てている。「どれだけ楽しめるか実験中」と仲嶺さん。賃料は2年間で3千円と格安で、「ありがたい」と話す。

 東京電力福島第1原子力発電所の事故後、沖縄に避難してきた人たちとの出会いがきっかけで、食に関心を持った。現在住んでいるアパートは、安全上の理由でベランダ菜園が禁止されているため、貸農園を探していたという。

 この日、慣れた手つきでキュウリを収穫した娘の彩華さん(9)は「育てた野菜はおいしい」と笑顔。夫の洋介さん(39)と息子の風太君(6)は一緒にカボチャの苗を植えた。

 ふれあい農園を管理する同市農民研修センターによると、今回は約100区画に対し約130人から応募があった。

 仲嶺さん一家のように週末に家族で利用したり、退職後の楽しみで栽培した野菜を市場に売ったりする人もいるという。

 読谷村民リフレッシュ農園は昨年12月時点の利用者が26〜79歳と年齢層が幅広い。2年契約で15〜21坪を5千〜7千円で貸し出し、70区画中現在65区画が利用されている。

 「若い人の関心も高まっている」と同村農業推進課主任主事の山内樹さん。貸農園に関する問い合わせも多く、「ニーズが高まっているので次の募集時、応募が70区画を超えたら抽選になる予定」。

 人気の一方、課題もある。沖縄市農民研修センター所長の上地明さんは「夏は暑過ぎるせいか、農地をほったらかしにする人が多い」と困り顔だ。契約期間が終われば、次の利用者のために同センターが整地するが、一定の手入れがされていないと、使える状態に戻すのに手間がかかる。上地さんは「せっかく借りた畑なので、きちんと手入れをして楽しんでもらいたい」と活用を促した。