43歳の友人が、大学の医学部に合格した。会社を辞め、退路を断って4度目の挑戦。内心今年が最後と決めていたというから喜びも倍増、と思いきや、本人はやや浮かない顔だ

 ▼机を並べる同級生は、現役合格なら18歳。親子の年齢差がある。会話が成立するのだろうか-。人の性(さが)か、願いがかなった途端、別の心配が出てきたようだ

 ▼それでも、大丈夫だと思う。沖縄には、親子どころか祖母と孫ほど年の離れた同級生もいる。沖縄戦、戦後の混乱で学ぶ機会を逃した人たちが通う高校の定時制夜間部。10代はパソコンを、70代は人生経験を、教え合う。年を重ね、なお学び直そうとする情熱は、若い同級生の刺激にもなっている

 ▼古酒づくりも、似たところがある。古い泡盛を後生大事に取っておくのではなく、新しい酒を仕次ぎしていくのがこつだ。名人は「旧態依然では駄目。刺激があって初めて、いい酒になる」と言う

 ▼友人には10代の初々しさはないが、人の痛みを知っている。風変わりな新米医学生は、周りにどんな化学変化を起こし、どう熟成させていくだろうか

 ▼間もなく年度が変わる。退職や就職、卒業や入学、異動にクラス替え。古酒甕(がめ)の中のような落ち着ける環境はいや応なく変わり、また新しい出会いが待っている。衝突や摩擦も、楽しみながら行きたい。(阿部岳)