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  • 1816年琉球に来た英海軍大尉の日記が英の博物館に現存していた
  • A4サイズで約80枚の手書き。スペイン語を話す琉球人らの記述も
  • 15枚の挿し絵は衣服や髪型、位階を表す鉢巻などを緻密に描く

 1800年代初頭に琉球に渡来した英国人が琉球の様子を記した日記や水彩画の新資料が、国立英国海軍博物館内に保管されていることが29日までに分かった。沖縄キリスト教学院大の浜川仁教授が現地で確認した。バジル・ホールの来琉同行団の一員、H・J・クリフォード海軍大尉が記した「訪琉日記」で、人々との交流の記述のほか、水彩画で琉球人を描写。専門家は「幻の訪琉記の発掘」と話している。(与儀武秀)

新確認された英国人クリフォードが記した「訪琉日記」の文面(The diary by Lieutenant Herbert Clifford© Trustees of the National Museum of the Royal Navy)=国立英国海軍博物館資料

浜川仁教授

新確認された英国人クリフォードが記した「訪琉日記」の文面(The diary by Lieutenant Herbert Clifford© Trustees of the National Museum of the Royal Navy)=国立英国海軍博物館資料 浜川仁教授

 クリフォードは琉球語彙(ごい)を収集したことで知られる。新資料はクリフォードが訪琉した1816年9月21日から1カ月余りの体験記。琉球王国の存亡が揺れ動いた時期で、近代の西洋人が琉球を訪れ、認識した最も初期の新資料という。A4サイズ大、約80枚の手書き。琉球人の印象のほか同行した士官候補生C・W・ブラウンらが描いた水彩画約15枚を収録している。

 スペイン語を話す琉球人との出会いや、赤ら顔の王府高官を「バッカス(酒神)の縄張りで、長年仕えてきたことを物語る顔」とユーモラスに記述するほか、挿絵では人物の衣服や髪形、位階を表す鉢巻(はちまち)が緻密に描かれている。

 日本学術振興会の科研事業「交錯するまなざし-琉球・沖縄をめぐる欧米のトラベルライティングの総合的研究」(山里勝己代表)の調査の一環で今年2月18日、英国で確認された。

 浜川教授は、同行したホールの著書『朝鮮・琉球航海記』にも画家W・ハーヴェルの琉球の絵が掲載されているが、「ハーヴェルは琉球を訪れずブラウンの絵を描き直して挿絵にしたとされる。似た絵柄があるので資料はその下絵になったものだろう」と説明。

 ホールとクリフォードが懇意だったことから「ホールが同著作の執筆時に『訪琉日記』を参考にした可能性もある」としている。

 米国在住の国際琉球学研究者の山口栄鉄氏は「クリフォードの日記がどこかにあると以前から予想していた。今回はその初確認となる資料で、幻の訪琉記の発掘だ」と話している。

 「訪琉日記」(稿本約80ページ)は翻訳し、今夏、不二出版から出版予定。