「壁はなくなったけど、米軍基地はなくならない」「事故があったことは県外では知らなかった」-。2004年8月13日に起きた沖縄国際大学の米軍ヘリ墜落事故。黒焦げた校舎の「壁」の記憶をつなぐ写真展「私の見た壁」が那覇市民ギャラリーで開かれている

▼インスタントカメラや携帯電話で撮影した小さいサイズの写真の数々。通りがかりの人や住民、学生、観光で訪れた人たちが撮影したもので、メッセージや感想なども添えられている

▼13年前。見慣れた景色に突然飛び込んできた現実をとらえた。黒煙や傷ついた壁、米軍車両、消防車両、規制線が市井の人の目を通してより生々しく浮かび上がる

▼日ごろ、頭上を飛ぶ米軍機が、日常空間に落ちるという異常さをあらためて思い知らされる。同時に、シャッターを押す側の思いも伝わってくるようで、引き込まれる

▼5日にはオーストラリア沖で普天間飛行場所属のオスプレイが墜落した。日本政府の自粛要請もおかまいなしで沖縄の上空を飛ぶ。写真展を訪れた人は墜落に触れ「恐ろしい現状は変わっていない」と感想を寄せた

▼実行委員会の新川美千代さんは、事故を知らない世代に知ってもらうために、親子で見てほしいと訴える。理不尽な状況を伝え続けるには、多くの記憶が力となる。写真展は13日まで。(赤嶺由紀子)