疑念は何一つ晴れなかった。防衛省の日報隠蔽(いんぺい)問題を巡る衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会の閉会中審査。小野寺五典防衛相は冒頭「国民に大変申し訳ない」と陳謝したが、その後の答弁では、全ては特別防衛監察の結果が示しているとして事実上の「ゼロ回答」を貫いた。

 だが、小野寺氏が「十分な調査がなされた」とする監察結果は、あまりにも不自然な点が多い。

 隠蔽問題の最大の焦点でもある稲田朋美前防衛相の関与について、「同省や陸自幹部との間で何らかの発言があった可能性は否定できない」としながら、発言を記す文書がないという理由で稲田氏が隠蔽を了承した事実はないと認定した。

 一方、丸井博副監察官は閉会中審査で、稲田氏の関与を示唆する「手書きメモ」の存在の確認を問われ、「確認しなかった」と答えた。あると報道されたメモを確認しなかったのに、文書がないから隠蔽了承の事実はないという監察結果は矛盾している。

 もしも稲田氏が隠蔽を了承したなら、「日報は見つからなかった」とした国会答弁は虚偽となる。逆に日報の存在を同省や陸自幹部が稲田氏に隠していたなら、政治が軍事に対して優位に立つ文民統制(シビリアンコントロール)が失われているということになる。

 同問題はどちらにしろ、防衛省に大きな課題があることを示すものだが、矛盾を抱えた監察結果は、そのどちらもうやむやにした。十分な疑惑解明がなされたとは到底言えない。

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 今回の閉会中審査は、この不十分な監察結果を補うはずだった。しかし与党は、疑惑の当事者である稲田氏や黒江哲郎前防衛事務次官、岡部俊哉前陸上幕僚長らの参考人招致を拒否。当事者として唯一出席した辰己昌良前統幕総括官は、「監察に話したこと以上は差し控える」と答弁を拒否し続けた。

 衆参委合わせて約8時間の質疑は、「明らかにできない」とする防衛省側と委員との押し問答に終始。空虚というほかなかった。

 小野寺氏は、「監察は高検の元検事長や現職の検事らが担当している」と繰り返し正当性を主張したが、聴取を受けた全員が、国会の場で不在または口をつぐむ中で、その言葉をうのみにすることはできない。

 そもそも日報隠蔽問題の発端は、昨年10月の陸自日報の情報公開請求に対し、防衛省が「廃棄済み」とうそをついたことにある。

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 当時は、自衛隊に新たに付与された「駆け付け警護」に関して、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸自部隊の活動状況が注目されていた。同地での激しい「戦闘」を記した日報が開示されれば、安倍晋三政権はPKO派遣を維持できなくなった可能性がある。

 閉会中審査はそうした国民の疑問に答える場だ。監察結果をたてに一切の答弁を拒否する態度は、国民の知る権利を脅かす以外の何物でもない。