多数の乗員乗客の命を一瞬にして奪ったドイツ旅客機の墜落は、副操縦士が故意に引き起こした可能性が高いと仏検察当局が発表した。

 空の安全に与えた衝撃の大きさは計り知れない。

 なぜ、このような悲劇が起きたのか、未然に防ぐことはできなかったのか。徹底した検証が必要だ。

 墜落したのはドイツの格安航空会社ジャーマンウイングスのエアバスA320型機。3月24日、スペインのバルセロナからドイツのデュッセルドルフに向かっていた同機は、離陸から45分後、高度約1万1500メートルに達した後、急降下を開始。その8分後にレーダーから機影が消え、フランス南東部の山岳地帯に墜落した。日本人2人を含む乗員乗客150人全員が絶望視されている。

 墜落から2日後の26日、仏検察当局は回収したボイスレコーダー(音声記録装置)を分析した結果として、副操縦士が、単独で降下装置を操作し「故意に機体を破壊しようとした」と発表した。

 副操縦士は、トイレに立った機長が操縦室に戻ろうとしたが、ドアを開けるのを拒んで閉め出したようだ。独紙によると、ボイスレコーダーには「ドアを開けろ」と機長が絶叫する様子が記録されていた。

 2001年の米同時多発テロ以降、航空各社は操縦室への侵入を厳しく制限する対策を講じてきた。だが、厳格化したテロ対策が悲劇につながった。テロ対策と安全性を両立させる再発防止策を講じるべきだ。

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 航空機の安全策に操縦士の1人が席を立った場合、客室乗務員が入室し2人以上の乗員を確保する「常時2人制」がある。墜落機では、その体制が取られていなかった。

 今回の事態を受け、欧州航空安全庁は、操縦室の2人制の導入を航空各社に求める勧告を出した。日本では、航空会社の判断に委ねており、対応は分かれている。太田昭宏国土交通相は会見で、2人制について「早急に検討を進める」と述べた。空の安全の強化が必要だ。

 副操縦士は、精神的な問題を抱えていたとされる。航空会社側は、副操縦士の健康上の不安を把握できなかったのか。管理体制に問題はなかったのか。厳しく検証されなければならない。

 国内では、1982年、機長の精神不調による異常操作で日航機が墜落した羽田沖事故を受け、メンタル面も含めた身体検査の基準を厳格化しているが、十分だろうか。

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 航空業界は、規制緩和やグローバル化の進展で格安航空会社が台頭する流れが続き、パイロット不足が深刻化している。多忙さが心身の不調を招くことはないか、航空会社はきめ細かい管理を怠らないでもらいたい。

 あらゆるリスクを想定することが危機管理の基本である。航空会社側は、幾重にも対策を講じ、万全の安全性を構築することがあらためて求められている。

 利用者への最大のサービスは「安全」であることを忘れてはならない。