県が与那原町と西原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区で計画している大型MICE施設の開業がずれ込みそうだ。2020年9月の当初予定を、「20年度内」に調整し直すという。

 県は総事業費約500億円の8割を国の一括交付金で充てる方針だ。本年度に基本設計と実施設計、18年度には着工する計画だった。

 開業の遅れは、内閣府が県の事業計画の実効性に疑問を呈し、一括交付金の見通しが立っていないからだ。

 内閣府の疑問は大きくいって二つ。県と、設計・施工・運営の落札事業者で施設使用の需要や収支見込みが異なっていること、もう一つは周辺にホテルがないことによる受け入れ態勢への懸念である。

 県は需要見込みについて国内有数のMICE取扱事業者から具体的な催事名や件数の裏付けを得て、開業6年目には単年度黒字が実現すると説明する。これに対し内閣府は県が調査した企業から再聞き取りするなどして検証。将来の催事数を不明と回答する企業があったことなどから、需要見込みを疑問視している。

 周辺のホテル整備についても県は11社が投資を検討し、うち2社は設計図面の作製に入っていると説明する。これも内閣府は問い合わせの結果、実現性に疑義を持つ。

 国民の税金を投じるわけで採算性を問うのは当然だ。県は内閣府からの質問に一つ一つ丁寧に答える必要がある。

 懸念されるのは県と政府が辺野古新基地建設問題で激しく対立する中、予算が政治的に使われることだ。来年は県知事選の年でもあり、政治的理由でブレーキをかけるようなことがあってはならない。

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 県が2020年にこだわるのは那覇空港第2滑走路の完成、東京五輪・パラリンピックの年に合わせ、アジアのダイナミズムを取り入れたいと考えているからだ。

 国際食品商談会「沖縄大交易会」も、会場の沖縄コンベンションセンターではこれ以上の拡大は困難だ。

 アジア市場でのMICEの需要に対し、県内では大規模MICEを受け入れることができず、多くの機会が失われていると県はみている。

 「沖縄MICE振興戦略」は最終年の26年の経済効果722億円、千人以上の催事231件を目標に掲げている。

 MICEを成功させるための鍵はホテルだけでない。交通アクセスの整備、国際的なMICEに対応できる人材育成など課題は山積している。

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 7月にMICEの誘致を目的に産官学の「沖縄MICEネットワーク」が設立された。産官学だけでなく、県民にもMICEの意義や経済波及効果を知ってもらうために、県内各地で説明会を開催し、盛り上げる必要がある。

 一括交付金が減らされることを懸念する市町村には、県は一括交付金の使い方を丁寧に説明しなければならない。

 大型MICE施設は「沖縄21世紀ビジョン基本計画」後期の最大の目玉である。県庁の現体制は県観光整備課の班止まりだ。MICEに特化した部署を新設し、全庁的に取り組まなければならない。