渡名喜村役場は「渡名喜村1917番地の3」など、沖縄県渡名喜村の住所は字名がつかない。村民に不都合はないが、役場には時折「字名はつかないのか」と問い合わせがある。国土地理院によると「全国で10カ所以上あるとみられるが、やはり珍しい」と話している。

市町村名と番地だけで、字名のない渡名喜村の住所。村役場には問い合わせが時折あるという=9日、渡名喜郵便局

 渡名喜村は221世帯380人が住む、県内で最も人口の少ない自治体だ。住民の住所も「渡名喜村○×番地」で表され、字名はつかない。村史にも理由は書かれておらず、島のお年寄りも経緯は分からない。

 渡名喜郵便局の長嶺忠昌局長(52)によると「字名がなくても特に困ったことはない。番地を書けば、郵便物はきちんと届けられる」と話す。むしろ「比嘉」「又吉」など特定の姓が多く同姓同名もいるため、誤配防止にはそちらの方が気に掛かるという。

 本部町から同村に嫁いで40年という女性(65)は、本島の病院を受診する際に字名がないために質問され、友人から「珍しいね」と言われるという。「字名がつかないのは村の歴史。なくておかしいと言われると、むっとすることもある」と語る。他の村民も違和感はないようだ。

 住民の98%は字名のない場所に住んでいるが、実は字名のつく住所が村にはある。計4世帯9人が住む粟苅、西兼久、西ノ底。もともとは畑だった場所だ。なぜ3字だけ字名を盛り込んでいるのかも不明だ。

 国土地理院によると、住所に字名のつかない地域は長野県の山間部など人口の少ない地域にあるが、2万572人が住む同県下諏訪町の例もある。同院は「住所に字名をつける必要性がなく設定しなかったのでは」と推測している。(南部報道部・又吉健次)