◆沖縄そば29杯完食を目指す物語です。

 沖縄そば。本土でいう「そば」とはまったく姿の異なるそれは、沖縄県民のソウルフード。県外に住んでいた時は、ふとした瞬間に恋しくてたまらなくなる食べ物です。その沖縄そばを、どのぐらい愛しているのかを確かめるべく、自分との戦いに挑むことをここに宣言します!

 今回は那覇市の平和通り商店街にある、まちぐゎー案内所・ゆっくるが発行する「ゆっくる新聞」と沖縄そば店のコラボ企画ー「那覇まちぐゎー沖縄そばスタンプラリー」に参加。1カ月で全29杯を必ず食べ切り、沖縄そば好きを表す「沖縄そばじょーぐー」の称号を目指します。

【1杯目】陽気な姉と内気な妹が出迎え・・・「八重山そばあんつく」

 思い立ったが吉日! 7月26日に意を決して全29杯のスタート地点に立つ。
 「ゆっくる新聞」を広げてにらむこと数分、むつみ橋通りにある「八重山そば あんつく」を1杯目に指名(勝手に)。29杯食べられるのか、店の人と上手に触れ合えるのかという不安も手伝い、及び腰で恐る恐る始まった…。

記念の1杯目。「八重山そば あんつく」はあっさりと美味しいそばでした。

 お昼すぎに訪ねたこともあり、店内はちょうどお客さんが途切れていた。店主と思われるおばちゃんもテレビを見ているので私も落ち着きと自信を取り戻し、何食わぬ顔で席に座る。やさしそうなおばちゃんは、「ちょっと待ってね、彼女がいないから私がやるのかねー」と言いながら店の主人を探しに店外へ。

 ひとり取り残された私はたちまち心細くなって、壁に張られたメニューやテレビを眺めてしまう。

 しばらくすると、先ほどのおばちゃんが、貫禄のある女性と一緒に現れる。店主さんに違いない。「何にする?」と聞かれ、せっかくなので八重山そばを頼んだ。

 調理している間に、おとなしそうなおばちゃんが「彼女は姉なの」と話してくれた。姉は濃いめの性格で名をせっちゃんと名乗り、妹をれいちゃんと紹介してくれた。この辺りから親戚のおばさんの家へ遊びにきたような空気感。「なんだなんだ、なにビビってたんだ私」と完全に空気になじむ。

胡麻ドレッシング風味のサラダと、かつお節の佃煮

 主役の八重山そばが届く前に、れいちゃんが「そばの出汁を取った後のかつお節を使った佃煮(つくだに)よ。おいしいから食べて」と、佃煮を出してくれる。ご飯が何杯でも進みそうな甘辛い味付けでうれしいおまけだった。れいちゃんとテレビを見ながらしゃべっていると、八重山そばが出てくる。なぜかサラダ付き。胡麻ドレッシングがかかったキャベツの千切りのサラダとかつお節の佃煮と八重山そば。それが私のそばじょーぐーへの道の1杯目だ。

 せっちゃんによると、八重山そばの特徴は「沖縄そばと違って刻まれた豚肉とかまぼこがそばの上に乗り、麺はスパゲティのような丸麺」。かつおにほんの少しだけ豚骨の出汁を使うスープは、あっさりとしていて全部飲みほして完食した。

せっちゃん(右)・れいちゃん姉妹に元気をもらいます

 写真撮影に忙しい私に、「県外から来ると、珍しいんだはずねー」とせっちゃん。れいちゃんが「違うってよ、那覇ってよ」と応えるやりとりに癒やされる。せっちゃんは「若い子はやっぱり違うねー、全部写真に撮るんだねー」と笑う。

 「29杯完食を目標に、食べながら記事を書くんです」と話す私に、「がんばってねー、大変だねー」「具志堅用高さんもよく来るよ。用高さんの写真も撮っていきなさい」と、もう親戚のおばちゃんたちに応援されている気分になってきて、「29杯食べきったら、30杯目を食べにきます!」と宣言していた。

 このとき私は、これからの過酷な旅路を知る由もなかったから、そんなことが言えたのだと今は思う…。
 お会計後の撮影にもノリノリでポーズを取ってくれるせっちゃんと、はにかみながらたたずむれいちゃんとのギャップがあまりにも大きくておもしろすぎた。

【筆者・たまきのそばデータ】
・店名:八重山そば あんつく(那覇市牧志3-1-1、電話080ー8354-8699)
・メニュー:八重山そば600円(量は2時間前に弁当を食べた私でも完食できるサイズ)
・雰囲気:アットホームな感じで女性ひとりでも入りやすい。地元客、観光客比率は半々。