少年が大人へのドアを開くとき、大きすぎる恐怖と抵抗が怪物の姿となって現れる。

「怪物はささやく」の一場面

 13歳のコナーは難病を抱えた母親との2人暮らし。毎晩悪夢にうなされる毎日が続いたある夜、怪物が現れ彼にこう告げる。「今からお前に3つの『真実の物語』を話す、4つめはお前が話せ」と。コナーが隠している“真実”を怪物は何としても話せと迫るのだ。

 人は苦しい現実にぶち当たると空想の世界に逃げて心身のバランスを保とうとする。出てくるなと押さえ込んだ思いも、空想の世界でなら放てることもあるからだろうか。自分の中に閉じ込めていた後悔や孤独やざんげが走り出しコナーと一緒にうずくまる。

 魂の駆け引きとはこういうことかと、少年の愛ゆえの葛藤にふるえ、開けた扉の向こうに小さな光を見る。(スターシアターズ・榮慶子)

◇シネマパレットで8月19日から上映予定