2017年(平成29年) 11月18日

社説

社説[日米2プラス2]沖縄に「捨て石」の懸念

 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が、トランプ政権発足後初めて、ワシントンで開かれた。

 日米両政府は、北朝鮮の非核化と弾道ミサイル開発の阻止に向け、圧力を強化していくことで一致した。

 共同会見で河野太郎外相は「対話のための対話には意味がない」と強調し、対話よりも圧力を重視する姿勢を鮮明にした。

 日米が圧力の強化で一致したとはいうものの、トランプ政権の内情はがたがたで、ミサイル問題への対応についても一枚岩ではない。

 ティラーソン国務長官は最近、対話への関心をたびたび口にし、北朝鮮の挑発をけん制している。

 対話の旗を降ろすわけにはいかない米国に対し、日本が「今はそんな時ではない」と、強硬姿勢の堅持を求めているようにも見える。

 結局のところ、2プラス2ではミサイル問題の解決に向けた道筋を示すことができず、手詰まり感が浮き彫りになった。

 目立ったのは、小野寺五典防衛相が自衛隊の役割拡大を表明し、地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」の導入を打ち出したことだ。

 自衛隊の役割を拡大すれば、防衛費の大幅増は避けられない。安保関連法に基づいて米艦防護を実施するなど日米の一体化が進めば、自衛隊が思わぬ事態に巻き込まれるリスクが高まる。

 国会への説明を後回しにするのは、行政権力の暴走に道を開く危ういやり方だ。

■    ■

 名護市辺野古の新基地建設について日米両政府は「普天間飛行場の継続使用を回避するための唯一の解決策」だと再確認した。

 日米首脳会談の度に、2プラス2の度に、繰り返し「辺野古が唯一」だと確認する。この振る舞いはあまりにも異様だ。

 何度も確認することによって県民にあきらめの感情を浸透させ、本土の人たちに「沖縄はわがまま」だという印象を植え付けようとしているのだろうか。

 あるいは、米国側の心変わりを警戒して日本側から何度も「辺野古唯一論」を持ち出し海兵隊を引き留めているのだろうか。それとも、地元沖縄の根強い反対が米国や日本本土に広がるのを警戒しているのだろうか。

 普天間の危険性除去にこだわり、普天間の早期返還を求めるのであれば、安倍晋三首相が約束した5年以内の閉鎖を優先して実現すべきだ。

■    ■

 既存の米軍基地内にヘリポートを建設して対応するという当初案は跡形もなく変更され、地元の頭越しに進めないという橋本龍太郎元首相の約束も反故(ほご)にされた。

 その後も、米軍の都合でたびたび計画が変更され、県民は振り回され続けた。

 日米両政府に対する県民の憤りと失望は大きい。

 その背景にあるのは、公平な扱いを受けていないという被差別感であり、再び「捨て石」にされるのではないかという戦争体験に根ざした懸念である。

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