【沖縄】甲子園の「宝物」を天国の友人に―。夏の甲子園に出場した興南高校3年生の外野手、伊礼希龍さん(18)=沖縄市=が、昨年病死した野球仲間の友人に甲子園の土を贈った。幼い頃から互いに目指した憧れの聖地。別々の高校に進んでも、目標はずっと一緒だった。志半ばで他界した友人との“約束”を果たし、「これからも彼の分まで頑張りたい」と笑顔で誓った。(中部報道部・赤嶺由紀子)

他界した友人に約束の甲子園の土を贈った伊礼希龍さん=19日、沖縄市高原

 伊礼さんは小学2年のとき野球を始めた。美東中から興南高に進学し、練習に明け暮れた。

 小中学校で一緒に野球をしていた友人は近所で仲良しの幼なじみ。高校進学と同時に学校の寮住まいになった伊礼さんは、友人と会う機会は少なかったが「いつも当たり前にそばにいる」存在だったという。

 そんな友人の死を知ったのは昨年10月。突然の知らせに「びっくりして信じられなかった」。だが、この日から野球に対するモチベーションが大きく変わった。「彼の分まで頑張ろう」と。

 ことしの正月に友人宅を訪ねた際、「夏は土を持ってくるから」と仏壇に手を合わせて“約束”した。

 毎日の厳しい練習、県大会ではあまり調子が出ずに苦しんだが、そんな時は“約束”が背中を押してくれた。甲子園では初戦敗退という結果に終わったが、常に「天国から見守っているんだろうな」と友人を思うことができたという。

 13日に帰宅した伊礼さんは、スパイク入れの袋に持ち帰った甲子園の土を小さなガラスの小瓶に詰めた。真っ先に向かったのは友人宅。「お疲れー。(見守ってくれて)ありがとう」と遺影に向かって報告した。

 「自分の分まで甲子園に行ってくれてありがとう、って言ってくれているんじゃないかな」。約束を果たせた今、伊礼さんはほっとした表情を見せる。進路はまだ決まっていないが「病気で困っている人たちを助けることもしたい」と前を見据えた。