理由も明かさず、一方的に調査を打ち切ったことは納得できない。

 環境省が米軍施設で実施していた環境モニタリング調査が2014年度以降、中断している。米軍が基地内への立ち入りを認めていないことが理由とみられる。

 調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」が県へ情報開示請求して明らかになった。

 調査は1978年から沖縄を含む全国の米軍施設などで行われていた。環境省はボイラー施設でばいじんなどの大気質を調べ、環境基準に適合しているかどうかを確認。環境省から委託を受けた県は、年に1~2度、約半年かけて基地内の汚染処理施設や排水溝で水質を調査していた。

 基地内立ち入りは通常、県環境保全課が環境省を通して申し入れ、日米合同委員会の環境分科委員会で諮る。

 2014年度は環境分科委に上げた段階で環境省から立ち入りを認めないとの連絡がきたという。環境分科委でどのような理由で立ち入りを認めなかったかの説明は一切ない。環境省は「どんな議論があったかを含めて答えられない」と開き直りとも受け取られる姿勢を変えていない。

 基地内のモニタリング調査は、基地所在地域の環境や地域住民の健康に結び付く重要なものである。なぜ、突然、中断に至ったのか。県民には当然「知る権利」がある。

 最低限の説明さえしない環境省は環境行政を預かる役所の本分を放棄したと言われても仕方がない。

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 環境モニタリング調査の中断に伴い、県環境保全課が主催し米軍、環境省が出席する「担当者連絡会議」も開かれなくなった。

 12年度の会議では、前年度にホワイト・ビーチの下水処理施設で検出された基準値を超える大腸菌群数について米軍が装置を取り換えたことが報告された。調査に基づく指摘に対し、米軍の対応を検証する場にもなっていたのだ。

 基地内の環境データが収集できなければ、基地の「ブラックボックス化」がますます進む。

 米軍は基地内で発生する環境汚染を矮小(わいしょう)化、隠蔽(いんぺい)する傾向にある。普天間飛行場で2005年から16年の間に航空燃料などの流出事故が156件発生したにもかかわらず、日本側に通報があったのはわずか4件である。

 16年に嘉手納基地の周辺河川から残留性有機汚染物質のフッ素化合物PFOS(ピーホス)が高濃度で検出された際も連絡がなく、県の立ち入りも実現しなかった。

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 沖縄の基地は民間地域と近接している。そのため基地内で環境の異変が起これば、地域住民の健康に影響を及ぼす恐れが拭えない。

 住民が安心して暮らす視点から恒常的なチェックが欠かせないのである。

 米軍基地を抱える全国の都道府県でもモニタリング調査が中断されている。自治体が自治権を行使できない状況はおかしい。県が率先して「渉外知事会」に呼び掛け、足並みをそろえて調査の復活を求めるべきだ。