名護市辺野古への新基地建設をめぐり、日米両政府がこれまで取り繕ってきた主張のほころびが見え始めた。

 カーター米国防長官と安倍晋三首相、中谷元・防衛相が相次いで会談し、新基地建設推進をあらためて確認した。

 会談後の共同記者会見で、中谷氏は普天間飛行場の固定化は避けなければならないと強調した。その一方で、県の要請に基づき政府が努力を約束した普天間の「5年以内の運用停止」は米側に求めていないという。どういうことなのか。

 「5年以内運用停止」は、2013年12月に当時の仲井真弘多知事が安倍首相に要請したものだ。仲井真氏は当時、「一日も早い危険性除去にようやく政府のトップが理解し、実現に全力で取り組むと言った」と評価した。

 日米は普天間の返還を「早くて22年」とすることで合意している。普天間の一刻も早い危険性除去を図るのであれば、仲井真氏と安倍首相が交わしたという「5年以内」は当然、求めるべきものだ。

 菅義偉官房長官は昨年9月に来県した際、「5年以内」について同年2月が起点になるとの考えを示した。つまり、19年2月が期限となるわけで、本来なら運用停止に向けた交渉を本格化させる時期である。

 そもそも米側は、当初から否定的な見方を示している。結局、政府は5年以内運用停止に取り組むとの口約束で、仲井真氏から辺野古埋め立て承認を引き出し、その後、放棄したとしか見えない。県民を欺くような態度ではないか。

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 日米両政府が1996年に普天間飛行場返還に合意してから、今月12日で19年になる。この間に沖縄国際大学へのヘリ墜落事故があり、周辺住民の墜落への恐怖は現実のものになった。

 騒音被害も激しく、日米合意で原則規制されている午後10時以降の飛行は常態化している。

 2010年7月に福岡高裁那覇支部で言い渡された普天間爆音訴訟の控訴審判決は、騒音防止協定は事実上形骸化している、と断じた。さらに判決は、米本国では墜落の危険性を避けるため安全基準としてクリアゾーン(土地利用禁止区域)が飛行場内に設定されているが、普天間では同ゾーンが民間地にせり出し、その中に学校や病院などの施設が存在している、と同空港の「欠陥」を指摘した。

 その後、オスプレイが配備され、普天間の危険性は増すばかりだ。

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 普天間飛行場に対し、米側には使用者としての責任が、日本政府には提供者責任がある。早期返還に向け、あらゆる選択肢を探るべきだ。

 普天間の危険性除去と辺野古新基地建設は、本来結び付くものではない。だからこそ沖縄の民意は、新基地に強く反対している。

 「辺野古が唯一の選択肢」とのフレーズは、米側が望む新基地建設を強行するための単なる方便としか思えない。判で押したようにそれを繰り返すのは、ほころびが露見するのを恐れているからではないか。あまりにも不誠実だ。