3月末、恩納村のホテルで、女性同士の同性カップルが結婚式を挙げた。

 レズビアンやゲイなどの性的少数者(LGBT)の挙式を後押しするカフーリゾートフチャクコンド・ホテルの企画で実現。2人の新たな門出を家族や友人らが祝った。

 多様な家族のかたちを認め、性的少数者を支援する動きである。

 今月、東京都渋谷区では、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める条例が施行された。

 こちらは自治体がLGBTの権利を保障しようという新しい動きだ。

 渋谷区の条例は、男女および性的少数者の人権尊重をうたい、同性パートナーシップ証明書を発行する条項を明記する。不動産業者や病院に、証明書を持つカップルを夫婦と同等に扱うよう求めるほか、家族向け区営住宅の入居も可能となる。条例の趣旨に反する行為があり是正勧告などに従わない場合は、事業者名を公表する規定も盛り込んでいる。

 世界では約20の国と地域が同性婚を法的に認めているが、それが認められない日本では「パートナーが病気で入院し大変な時に、家族でないからと面会がかなわなかった」「同性カップルへの偏見からアパートが借りられない」「親族であることが入居資格の公営住宅に入れなかった」など切実な訴えがある。

 証明書に法的な効力はないものの、社会生活が円滑に進むよう性的少数者の人権に光を当てた意義は小さくない。

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 「自分はなぜ生まれてきたのか。何者なのか。存在してもいい人間なのか」

 心と体の性が一致しない性同一性障害の当事者が、本紙のコラムで自己否定を繰り返してきた子ども時代を振り返っていた。

 当事者団体が実施した調査では、小学校から高校までの間にLGBTであることを誰にもカミングアウトできなかった人が4割近くに上った。約7割が子どものころ学校でいじめや暴力を受けていたなど深刻な状況も浮き彫りとなった。

 子どもたちへの人権教育と同時に、当事者支援など学校現場での対応は急務である。

 県内では、人々がピンクの服を身につけ、多様な性への理解を訴えるイベント「ピンクドット沖縄」が2年前から開かれている。

 抱える課題を社会で共有していくことはとても大切だ。

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 LGBTの人が人口に占める割合は5%くらいだといわれている。

 20人に1人という数字を私たちが実感しにくいのは、LGBTであることをカミングアウトできずに、悩み苦しんでいる人がいかに多いかの裏返しでもある。

 渋谷区が同性パートナー条例の制定に動いたのは、住民に近い地方自治体が家族の多様化を肌で感じ、柔軟に対応したからだろう。

 人が個性や能力を発揮してありのままに生きていくために必要なのは、差別のない社会である。性的少数者の権利保障について正面から議論すべき時期にきている。